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【喜熨斗勝史の欧州戦記|第15回】「戦術〇〇」と「決まり事」。ヨーロッパでの経験を基にした見解は――

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2022年06月28日

国家代表というのはトラディショナルなコース料理

セルビア代表のウロシュ・ラチッチ(写真左)と喜熨斗コーチ(写真右)

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 では、突き抜けた“個”が存在しない場合、明確な『決まり事』は必要になるのでしょうか。もしも『決まり事』がなければ「できない」と選手が言うならば、それは必要です。しかし、それを明確に提示しなくても、シチュエーションによってやるべきことや自分たちのアイデンティティを共有・理解できていれば、ブラジル代表のように、違うレベルの戦いに移行できるとも考えられます。

 例えば欧州クラブはブラジル人もいればイタリア人やドイツ人が同一チームに在籍したりします。国によってスタイルが違うので、『決まり事』は必須です。でも彼らは自国代表に合流すれば、その国に根付くサッカーができるのです。ブラジル代表はDFであろうと誰だろうとテクニックとアイデアに溢れたチームになるし、ドイツ代表は統一感のある、力強いサッカーができます。

 クラブを様々な国の料理を詰め込んだ幕の内弁当に例えるならば、国家代表というのはトラディショナルなコース料理です。イタリア料理でもドイツ料理でも、言わなくても“必要食材や下味(=最低限の決まり事)”は分かっているはずです。

 これも前回コラムで『世界に発信していくオリジナルなものの必要性』と言及しましたが、では、和食にあってスペイン料理やドイツ料理にはないものとは? 美味しいだけではなく勝っているものとは? そこをチームとして共有することが必要なのです。
 
 一過性の『決まり事』ではなく、日本サッカーとしての『決まり事』ができれば、もう一段上のレベルにつながります。今回の結果や内容、やりとりを踏まえて、私は逆に言えばワールドカップまでの残り5か月で、日本代表ができるところも十分にあるのではないかと感じましたし、本大会では“何かをやってくれるのではないか”と期待が沸いています。
 

セルビア代表の喜熨斗コーチがネーションズリーグを振り返った。

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 我々セルビア代表は、標榜する攻撃サッカーのさらなるブラッシュアップと守備の改善はしなければなりません。3月の親善試合デンマーク戦、6月のネーションズリーグ4試合でロングボールへの対応に課題を残しました。グループリーグで対戦するブラジル相手に日本代表がみせた守備網は参考になりましたし、採用するゾーンディフェンスの仔細を詰めていかなければなりません。その一方でブラジルに勝つには、やはり得点。ノルウェーにも、第4戦で戦ったスロベニアにも守備を固められた際に突破することはできませんでした。そこをいかにしてこじ開けるかは重要です。
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