長期離脱から復帰した小林も、チーム状態について不安を漏らす。
左ウイングで先発した杉本は、言葉に詰まりながらも試合をこう振り返った。
「立ち上がりはチームとして悪くなかったけど、結局、先制点も取られましたし、上手く行かなかった時に自分たちで立て直す力が足りなかった。前半の最初はスムーズにやれていたし、そのなかでチャンスもあった。あとは最後。自分もそうですが、枠に飛ばすところですね。チャンスは作れているけど崩し切れない場面が多かった」
一方の鹿島からすれば、川崎の攻撃はさして恐くなかっただろう。石井正忠監督は「(川崎は)クロスが少ないし、外よりも中を安定させる守備ができた」と胸を張った。CBの昌子源も6連勝に確かな手応えを掴んだようで、「先輩たちが築いた伝統あるクラブですし、名門復活と言われるぐらいに頑張りたい」と語る。
「『強い鹿島』は、レジェンドと言われる大先輩たちが築いたもので、僕たちは『強い鹿島』を壊してしまった。『強い鹿島』を復活させる意味でも、僕らがなにかを成し得ないといけない」(昌子)
結果的に、鹿島が自信を深める一戦となったのは確かだ。川崎の数少ない光明と言えば、足もとの技術が光ったA・マイアのパフォーマンスと、長らく戦線から離脱していた小林の復帰だ。とりわけ66分から出場した小林は、84分に大久保との連係でゴールに絡んでおり、復帰から20分弱で存在感を放った。
「久しぶりの試合にしては、すんなりと入れた。外から見ている時は難しいのかなと思って見ていたけど、実際に入った時はそこまで崩せないという印象はなくて、実際にゴールも生まれた」(小林)
復帰戦としては上々の内容だったが、チーム状態については不安を漏らした。「ただ(今後は)、コンビネーションで崩せる場面を増やさないといけない。みんなが考えていることがバラバラだと、崩せないと思う」。