彼らのように日本屈指の技術と速さ、駆け引きのうまさを誇るドリブラーが抜き切れないというのは、11月に開幕するカタールW杯でドイツ、スペインと対峙する日本にとっては非常に厳しい部分。ただ、駆け引きやフィジカルレベルを引き上げていけば、進化できる可能性がないわけではない。

　そのためには、やはり日々の環境が重要だ。２人は今季揃ってベルギー１部でプレーしたが、願わくば今夏からは欧州５大リーグにステップアップして、そこで試合に出てW杯本番に挑んでほしいもの。

　三笘はレンタル元のブライトンに復帰し、プレミアリーグ参戦が有力視されているし、伊東もレバークーゼンへの移籍話が噂されている。新天地に赴けば、出番を得られないリスクはあるものの、ブラジルのような強豪相手に「抜ける選手」になるためには、思い切ってチャレンジするしかないのではないか。

「今回、最後の20分出てみて、強度が高いというふうには感じなかったですし、これだけの雨の中で（相手も）疲労もあった。それでも得点に絡むことができないってことを考えれば、強度の低いところでやっているという感覚。自分自身、もっと高いレベルでやり続けて、そこに慣れていかないといけないというのはあります」

　三笘もそう語気を強めたが、ここからの５か月間、どこで何をするかが本当の勝負になってくる。
 

　さしあたって、10日のガーナ戦、14日のチュニジアorチリの勝者との一戦で、積極果敢なチャレンジをしていくことが肝心だ。W杯出場国のレベルを今一度、再確認し、自分の課題を整理することが、必ず先につながる。

　その作業を伊東と三笘には地道に続けてもらい、カタールで日本攻撃陣の切り札として結果をもたらすこと。それが彼らに課されたタスクだ。

取材・文●元川悦子（フリーライター）

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