「矢印は縦方向に」全身全霊のプレーを追求し、“相馬アルディージャ”の逆襲が始まる

カテゴリ:Jリーグ

松澤明美

2022年05月31日

「地域の方々に愛される」チームづくりも意識

新指揮官への期待は大きい。下位に低迷するチームをどう立て直していくか、その手腕に注目が集まる。写真:松澤明美

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 確かな一歩を踏み出し、より高みへ。相馬監督は「我々のスタンダードをもう1段、2段、できれば3段と上げていこう。そこにそろえて行こうとのイメージで選手たちに話している」とチームの力に期待。就任会見では、目標を引き続きJ1プレーオフ圏内の「6位以内」と定め、残り23試合で首位の仙台と同じ1試合平均で勝点2の上積みを狙う。

 今後に重視していきたいことにも触れた。

「アグレッシブな、見ている方にもそう思ってもらえるようなサッカーがしたい。矢印は横というよりは縦方向になる。後ろよりは前っていう、それは攻撃をするにしても、守備をするにしても。今の選手たちを見て十分できると思っているし、それぞれのパーソナリティがあるので、どう組み合わせていけるか」

 補強についても注目が集まる。相馬監督は「本当に食らいつこうとしている彼らを信じたい」と指導者、指導法が変わっても奮闘する選手たちを信頼。「そういうなかでエネルギーを出していってくれること、それによって必要なことが変わってくる。補強かもしれないし、それ以外でも必要なことが出てくると思う。今、何か問うことでは全くない」。

 相馬監督は現役引退時から思うことがある。選手を満員のスタジアムで「プレーをさせてあげたい」ということだ。
 
 Jリーグ創設から2年目の1994年、鹿島に加入。左SBで活躍して絶頂期を知る。現在はコロナ渦で、また当時とは取り巻く環境も違うが「満員で熱量があふれるようななかで、試合が終わったらピッチで何をやったか覚えていないくらいに無我夢中になれる」瞬間を味わってほしいと願う。そのためには勝敗のほか、「地域の方々に愛される」チームづくりも意識する。

「特に大宮は(同じさいたま市内に)浦和さんがいる。J1同士で戦えない状況だが、それでも誇りを持って我々を応援していただけるように」と心掛けていく。まずは「『これぐらいでいいだろう』ではなく、『これしかない』」という全身全霊のプレーを追求。そして、「大宮アルディージャに関わる人に笑顔を届けたい」と。

 それは新しい旗印となって、“相馬アルディージャ”の逆襲が始まる。

取材・文●松澤明美(大宮花伝)

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