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ロールモデルは三笘薫。プロより大学を選んだ流通経済大MF川畑優翔。“器用貧乏”ではなく“全てがハイクオリティ”になるために

カテゴリ:大学

安藤隆人

2022年05月25日

冷静に自己分析し、未来予想図を描く

 実際にJ2のクラブから熱烈なオファーを受けていたが、大学進学を決意。その真意をこう語ってくれた。

「J2の2つのクラブに練習参加して、やれる手応えは感じたのですが、冷静に自分を評価して見ると、まだプロの世界に飛び込むのは時期尚早ではないかと思ったんです。僕はドリブルとか、パスとか、何か特出した武器があるのではなく、攻撃において何でもできるのが強みだと思っていて。僕のような選手はその全体的なアベレージをもっと上げていかないと、プロの世界では全てが足りない選手になってしまいます。

 そう考えたときに、大学に行って1年の時から練習や実戦でみっちり経験を積んで、コツコツとアベレージを引き上げていったほうがいいと判断したんです。それに、高卒でプロに入った選手を見ても、すぐにレンタルに出されてしまったり、数年で契約満了になってしまうケースもあるので、例えJ1のクラブからオファーがあったとしても、僕は根拠のない自信で決断を急ぐようなことはしないでおこうとも思いました」
 
 プロに入って『ただの器用貧乏な選手』になるのではなく、大学4年間で『全てがハイクオリティな選手』になるために全力を尽くす。冷静に自己分析し、未来予想図を描けたのは、日本代表や世界で活躍する大卒の先輩たちの存在が大きかった。

「流大の先輩である守田英正選手や、伊東純也選手、三笘薫選手などを見て、大学サッカーで十分に成長できると思いました。なかでも三笘選手の動画は高校時代から試合前によく見ていて、三笘選手は技とかで抜くタイプではなく、ドリブルのタイミング、駆け引き、予備動作、コース取りを参考にしています。大卒であることも含めて、僕のロールモデルにしています」

 当然、4年後にオファーが来る確約はない。それは川畑自身がよく分かっている。だからこそ、「人としても大人になって、プロでも即戦力として行けるように毎日を過ごしていきたい」と、4年後のあるべき自分の姿に向けて、1つずつ実力を積み上げていく作業に責任と覚悟を持って取り組んでいる。リーグ初ゴールを含めた2発は、その決意表明でもあった。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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