そしてもうひとりがチームメイトのDFチェイス・アンリだ。すでにU-21日本代表、A代表合宿を経験している１学年上の先輩の言葉もまた、福田にとって大きな刺激と財産になっていた。
 

「僕はまだフィジカルが弱いので、フィジカルの強いアンリくんから学ぶことも多いし、A代表やU-21の代表で学んできたことを僕に教えてくれるので、練習前とかにはずっと一緒にいて話を聞いたり、一緒にトレーニングをしています」

　A代表の合宿でFW大迫勇也に吹っ飛ばされるなど、レベルの違いを身を持って体験したアンリの言葉は重みが違った。さらに福田も海外でチャレンジする可能性が出てきており、すでに海外進出を見据えて行動やプレーをしているアンリはまさに人生の先輩であった。

「アンリくんのあの身体でも吹っ飛ばされるので、僕はまだまだだと思ったし、海外での話も聞いています。ドイツ語もアンリ君とちょっとだけ勉強しています」

　３月中旬からドイツの名門バイエルン・ミュンヘンの練習に参加をする福田。「海外は小学校の時にレアル・マドリーのセレクションで選ばれてスペイン遠征に行って以来」と、コロナ禍の影響で年代別日本代表などの海外遠征がなかったことが影響し、ほぼ初めてに近い海外でのチャレンジになる。ここで得た刺激と財産を力に変えて、さらにスケールの大きなストライカーに成長できるか。

　福島でノーゴールに終わった悔しさと共に、若きタレントは意を決して海を渡る。

取材・文●安藤隆人（サッカージャーナリスト）