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【喜熨斗勝史の欧州戦記|第9回】激動の10か月で神経を使ったコンディショニング。実は「フィジカルだけを言うわけではない」

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェスト編集部

2021年12月24日

代表チームは活動時間が短いからこそ、非活動期間にどれだけアンテナを張っていられるかが勝負

喜熨斗コーチ(写真右)は、パーソナルコーチを務めるカズ(三浦知良/写真左)の自主トレの手伝いをしている。

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 そのなかでも、ベースにあるフィジカルコンディションは、オーバーワークになってしまうと、全体のコンディションが上がらずに、他の要素にも上手くアプローチできない可能性が高い。

 ミスター(ドラガン・ストイコビッチ監督)も同様の考え方だったので、まず3月に着任してから、所属クラブでの試合出場時間の線引きはしようと決めました。1か月での出場上限を500分に設定し、それを超える選手に対しては、基本、リカバリーをベースにトレーニングを組み立てました。

 選手たちにもそのコンセプトは伝えて、怪我なども隠さずに教えてもらうようにしました。キーは数値化と情報開示。代表選手が所属するクラブを訪問し、各クラブとの連携を強化したのもスムーズな情報交換ができる体制を整える必要があったからです。代表チームというのは活動時間が短いからこそ、非活動期間にどれだけアンテナを張っていられるかが勝負。その集大成が最終戦ポルトガル戦につながったのだと確信しています。
 
 帰国後は嬉しいことに、多くのサッカー関係者から連絡をいただきました。12月中旬からは大阪府内でパーソナルコーチを務めるカズ(三浦知良)の自主トレの手伝いをしているのですが、その施設でB級ライセンス受講者の講習会が行なわれ、話をさせてもらう機会に恵まれました。

 20~30人くらいの未来の指導者の前で、私なりの欧州サッカーの現状や日本サッカーが進むべき道など述べさせてもらいました。アウトプットすることで私自身もセルビア代表での活動を振り返ることができましたし、少しでも日本サッカー界の刺激や還元になっているのならば本望です。

 もっとも、代表チームの最終目標はワールドカップ出場ではありません。まず来年の世界最大のコンペティションで良い成績を収めるのは当然。しかし、選手が年齢をひとつ重ねるのは避けられない事実です。“次”のセルビアサッカー界をも見据えた1年にしなければなりません。

 短期間で開催されたワールドカップ欧州予選は30人ほどに絞った招集をしましたが、今は日本との親善試合(6月11日)を戦ったメンバーを含んだラージリストを40~50人に拡げています。

 彼らがどう成長していくか、どのタイミングで招集していくか、トップチームがやっているサッカーをどれだけ浸透させられるか、どれだけ代表チームの矜持を共有できるか。コーチングスタッフとして冷静に見極めをしながら、歩みを進めていかなければなりません。
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