新潟が好ゲームを披露できたのは、もちろんL・シルバの存在も大きく関係している。ブラジルでの胆のう摘出手術の後、６月中旬から懸命なリハビリに取り組んできたボランチは、明らかに第１ステージよりも動きがキレていた。
 
　この中盤の要があらゆる局面に顔を出すことで、攻撃でも守備でも、チームメイトたちが余裕を持ってプレーできていたようだ。
 
「自分で奪えれば一番良いけど、がつがつ球際に行って、ボールがこぼれてもレオ（・シルバ）がいるという気持ちが持てるので、強気に行ける部分はある。それに攻撃でも、レオのところでボールが落ち着くので、自分のタイミングで（低い位置に）降りて行ってボールを受けられる。安心感があります」（加藤）
 
　本人はまだ本調子ではないものの、「次のゲームはさらに良い状態で戦えると思う」（L・シルバ）とコンディションの上昇に手応えを得ていた。Ｊリーグ・ベスト11を受賞した昨季レベルのパフォーマンスを取り戻すのに、それほど時間はかからないかもしれない。
 
　さらに言えば、L・シルバとボランチコンビを組んだ小泉の貢献も見逃せない。カウンターで決めた２点目もさることながら、豊富な運動量を守備面でも存分に発揮していた。前半の序盤に迎えた赤﨑の決定機を防いだのは、彼の懸命な戻りだったし、相手にサイドに配球された際も、素早くＳＢのフォローに入って起点を潰している。
 
　L・シルバと小泉の２ボランチは、運動量とボール奪取力に加えて、果敢な飛び出しで縦への推進力を与える仕事も見込める。これは堅守速攻を狙う新潟にとっての生命線だ。このふたりのボランチは、試合のペースを手繰り寄せた最大の功労者と言っても良いだろう。
 
　ラスト３分で逆転された鹿島戦を振り返って、L・シルバは「最後の決定力は相手に劣っていたのは否めないし、連続で失点してしまったのは集中力が散漫になっていたから。改善しなければいけないところ」と反省の言葉を並べた。

　だが、同時に「今日の戦い方のレベルを保てれば、これからも良いゲームができると思う」と前向きな発言も残している。
 
　他の選手も同じく、悔しさのなかにも「今日のようにアグレッシブな守備ができれば、自分たちのペースで試合ができる」（川口）と手応えを滲ませていた。彼らの言葉は、掛け値なしの本音だ。
 
　敗戦のショックは大きかったものの、一方で先につながるポジティブな要素をいくつも発見できた。この鹿島戦のようなパフォーマンスを維持できれば、J１残留は決して難しいミッションではないだろう。
 
取材・文●五十嵐創（サッカーダイジェスト編集部）