湘南のダイナモは、ハリルホジッチ監督の目にも留まったか――。
名古屋の前線には闘莉王、永井、川又とA代表クラスが並び、一か八かのロングボールが湘南ゴール前へ放り込まれ続けた。確かにその誰かの足もとにボールがこぼれれば、ゴールもあり得る……。そんな雰囲気は漂っていた。
それだけに、この集中砲火をくぐり抜け、湘南がホームでしっかり守り切って勝点3を掴んだことには、大きな意味があっただろう。
ロスタイムの3分間が過ぎて、試合終了のホイッスルが鳴る。その瞬間、ジャーンも「よっしゃ!」と現役時代を彷彿させるガッツポーズを作った。
そして眞壁社長やクラブスタッフと握手を交わしたジャーンに、湘南の誰が印象に残ったかを聞いてみた。
しばし考えたあと、ジャーンはふたりの名前を挙げた。
「大竹洋平はとても良かった。冷静に先制点をアシストしたしね。
それに永木だね。本当に素晴らしかった」
前線で躍動したレフティとともに、1対1の局面で幾度となく、しかも苦しい時間になればなるほど身体を張ってボールを奪い続けたボランチを彼は評価していたのだ。
永木は2010年、特別指定選手(当時は中央大4年生)として湘南のトップチームに登録され、ジャーンともプレーしている。プロとしての心構えを吸収し出した時だっただけに、膝を傷めながらも満身創痍で戦い続けた歴戦のDFから学んだものは多かったという。
――今日の試合で、ジャーンが印象に残る選手として、永木選手のことを挙げていましたよ。
そう伝えると、永木は素直に喜んで、こう語った。
「きっとジャーンさんのことだから、球際のところを見ていてくれたんだと思うと、嬉しいし、有り難いです(笑)。そこ(1対1の中盤での守備)は自分の特長だと思っているところでもありますので」
永木はそこに課題もあると感じながら、この一戦に臨んでいたという。
「第1ステージの反省点のひとつが、その1対1の守備の局面で、もっと頑張らないといけないな、ということだったんです。もっと、やらないといけない、と。だからこそ、その点でも今日は良い第一歩を踏み出せたと思っていました。なにより勝てたことが大きかった。
ジャーンさんには本当にお世話になりましたからね。試合前日にちょっと話をさせてもらったんですが、ずっと変わらず、良い人ですよね」
湘南のキャプテンは“大先輩”からの高評価を受けて、より自信を深めていた。
「これまで何年間もかけて積み重ねてきたものを、試合で出せてきていると思います」
湘南が名古屋から勝利を収めたのは、99年8月7日のホームでの試合以来、実に16年ぶりだそうだ。そんなデータが不思議なぐらい、両チームの戦術的な質の差が感じられた一戦でもあった。
そしてジャーンが現役時代に見せた魂の守備は今なお湘南に息づいている、永木をはじめ多くの選手のプレーが、そう証明していたように見えた。
もしかすると……そんな湘南のダイナモが、ジャーンのすぐそばで視察に訪れていた日本代表のハリルホジッチ監督の目にも留まったかもしれない。
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)
それだけに、この集中砲火をくぐり抜け、湘南がホームでしっかり守り切って勝点3を掴んだことには、大きな意味があっただろう。
ロスタイムの3分間が過ぎて、試合終了のホイッスルが鳴る。その瞬間、ジャーンも「よっしゃ!」と現役時代を彷彿させるガッツポーズを作った。
そして眞壁社長やクラブスタッフと握手を交わしたジャーンに、湘南の誰が印象に残ったかを聞いてみた。
しばし考えたあと、ジャーンはふたりの名前を挙げた。
「大竹洋平はとても良かった。冷静に先制点をアシストしたしね。
それに永木だね。本当に素晴らしかった」
前線で躍動したレフティとともに、1対1の局面で幾度となく、しかも苦しい時間になればなるほど身体を張ってボールを奪い続けたボランチを彼は評価していたのだ。
永木は2010年、特別指定選手(当時は中央大4年生)として湘南のトップチームに登録され、ジャーンともプレーしている。プロとしての心構えを吸収し出した時だっただけに、膝を傷めながらも満身創痍で戦い続けた歴戦のDFから学んだものは多かったという。
――今日の試合で、ジャーンが印象に残る選手として、永木選手のことを挙げていましたよ。
そう伝えると、永木は素直に喜んで、こう語った。
「きっとジャーンさんのことだから、球際のところを見ていてくれたんだと思うと、嬉しいし、有り難いです(笑)。そこ(1対1の中盤での守備)は自分の特長だと思っているところでもありますので」
永木はそこに課題もあると感じながら、この一戦に臨んでいたという。
「第1ステージの反省点のひとつが、その1対1の守備の局面で、もっと頑張らないといけないな、ということだったんです。もっと、やらないといけない、と。だからこそ、その点でも今日は良い第一歩を踏み出せたと思っていました。なにより勝てたことが大きかった。
ジャーンさんには本当にお世話になりましたからね。試合前日にちょっと話をさせてもらったんですが、ずっと変わらず、良い人ですよね」
湘南のキャプテンは“大先輩”からの高評価を受けて、より自信を深めていた。
「これまで何年間もかけて積み重ねてきたものを、試合で出せてきていると思います」
湘南が名古屋から勝利を収めたのは、99年8月7日のホームでの試合以来、実に16年ぶりだそうだ。そんなデータが不思議なぐらい、両チームの戦術的な質の差が感じられた一戦でもあった。
そしてジャーンが現役時代に見せた魂の守備は今なお湘南に息づいている、永木をはじめ多くの選手のプレーが、そう証明していたように見えた。
もしかすると……そんな湘南のダイナモが、ジャーンのすぐそばで視察に訪れていた日本代表のハリルホジッチ監督の目にも留まったかもしれない。
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)