今後は、周りの選手とどう連係を深めていけるか。三笘は縦に抜き切る力はもちろん、カットインしてからのスルーパスに加え、ドリブルで仕掛けながら、相手の予想を裏切るタイミングで、アウトサイドでラストパスも出せる。自らシュートも打てる。攻撃面でいろんな引き出しがある三笘の近くで、周りの選手がどれだけ選択肢を増やしていけるか。

　味方の動き出しに対し、三笘はそれを使うこともできれば、囮にもできる。今はまだ、三笘の個人での打開が目立っている段階だけど、周りとの連動性がより高まってくれば、三笘のドリブルの威力もさらに倍増するはずだ。

　さらに、オマーン戦の決勝点のシーンで見逃せないのが、左サイドバックで途中出場した中山のプレーだ。三笘のアシストから伊東が決めたけど、その三笘にパスを出したのが中山だった。

　左サイドで三笘のクロスは相手にブロックされて、オマーン側がビルドアップを試みる。そこに素早い寄せで中山が奪いにかかる。巧みに利き足の左足を使って、ファウルにならないようにカット。直後、キックフェイントをひとつ入れてから、前にいる三笘に絶妙なパスを通す。

　中山の寄せるスピードとノーファウルでのボール奪取は、高い技術と経験値がなければできないもの。そして、強調したいのは、あのキックフェイントだ。これでオマーン守備陣の足が一瞬、止まった。その隙を突いた三笘、伊東は見事だったのはもちろん、そのシチュエーションを作り出した中山の一連のプレーは、まさにスーパーだった。
 

　キックフェイントから、流れるような動作で三笘にパス。これは左利きだからこそ、なせる技だったと思う。

　中山は守備面でも及第点の働きを見せたが、チームとしてはベトナム戦に続き、２試合連続でクリーンシートを達成した。後ろの安定感がなければ、できないこと。吉田、冨安、権田はオマーン戦でも盤石のディフェンスを披露した。相手の枠内シュートはゼロ。守備的MFの遠藤も、ミドルゾーンで持ち前の素早い攻守の切り替えをいかんなく発揮。守備の充実ぶりも光っていた。

　とにかく、勝てて良かった。最終予選は残り４試合。来年も力強く戦い抜いて、ワールドカップにストレートインできる２位以上をキープしてほしいね。

【W杯アジア最終予選PHOTO】オマーン０-１日本｜期待の三笘の突破から伊東が決勝点！貴重な勝利を手にし、豪州をかわして２位浮上！