• トップ
  • ニュース一覧
  • 高温多湿の敵地で“常識的な戦略”だったサウジ戦… なぜ日本の攻撃は相手の脅威になり切れなかったのか?

高温多湿の敵地で“常識的な戦略”だったサウジ戦… なぜ日本の攻撃は相手の脅威になり切れなかったのか?

カテゴリ:日本代表

清水英斗

2021年10月10日

ポイントは出場停止の伊東純也に代わり、右サイドに入った浅野拓磨

サウジ戦で2列目右サイドに入った浅野。たびたび相手の背後を狙ったが、持ち味を生かしきれたわけではなかった。写真:JFA提供

画像を見る

 ワールドカップ・アジア最終予選の3戦目、日本代表はアウェーでサウジアラビア代表と対戦し、0-1で敗れた。これで早くも2敗目。サウジアラビアやオーストラリアとは勝ち点6の差がついた。

 テクニックに長けた攻撃的なサウジアラビアに対し、日本は中盤でボールを引っかけてショートカウンターを狙う戦術を徹底した。あまりハイプレスで追いすぎず、ミドルゾーンに守備ブロックを敷いて相手の攻撃スピードを抑えつつ、機を待つ。この試合が高温多湿のアウェー環境であることを踏まえれば、常識的な戦略だった。

 ポイントは出場停止の伊東純也に代わり、右サイドに入った浅野拓磨だ。サウジアラビアは攻撃的な両サイドバックが高い位置を取るので、その背後を狙う意図があったのだろう。
 
 しかし、日本戦のサウジアラビアは両サイドバックが背後のスペースをカバーする意識が強く、またビルドアップ時に3枚に変形するため、センターバック脇のスペースが制限された。その結果、カウンター時に浅野が狙う飛び出しは、内側へ向かってえぐり切ることができず、外側へ逃げるような飛び出しが増えた。そこからドリブルで仕掛けたり、クロスを入れたりと、まるで伊東の影を追うかのようなプレーが多く、浅野の魅力は半分しか出なかった。バリエーションの少ない日本の攻撃が、サウジアラビアにうまく吸収された感はある。

 ただ、サウジアラビアも3枚に変形するとき、最終ラインに下りる選手はボランチのアブドゥレラー・アルマルキとほぼ決まっていたが、その後の中盤の形が特に決まっておらず、トップ下のサルマン・アルファラジが下りて来たり、サイドハーフが下りて来たりと、即興感はあった。そのため日本の守備は捕まえづらくはなるが、逆に日本がボールを引っかけたとき、ボランチのスペースがスカンと空くことがあり、29分に鎌田大地のロングスルーパスに大迫勇也が抜け出してシュートを打った場面など、チャンスにつなげるシーンもあった。

 3枚に変形してサイドのスペースへの警戒が強い一方で、空きがちなボランチ周辺のスペースでもうひと手間入れて、一発ではなく二発で裏を狙えば、浅野の良さがもう少し出る場面を作れたかもしれないが、この試合では正直、伊東の代わりがいた、という印象しかなかった。もし、久保建英がいれば、ポジションチェンジして右サイドから久保が仕掛け、浅野が中から飛び出すなど、バリエーションも出せたかもしれないが……。ちょうど後半、南野拓実と鎌田大地が入れ替わって、鎌田がドリブルで仕掛けた場面のように。

 全体的な戦略としては妥当だが、攻撃のバリエーションが少なく、相手の脅威になれなかった印象だ。これなら浅野ではなく、原口元気が右サイドでスタートしたほうが良かったかもしれない。

【PHOTO】W杯アジア最終予選サウジアラビア、オーストラリア戦に臨む日本代表招集メンバーを一挙紹介!
【関連記事】
「日本の世論は爆発している」森保監督の去就問題に中国メディアも見解!「豪州戦で勝てなければ90%解任」
次期日本代表監督候補に、メキシコ人指揮官が浮上? 東京五輪でメキシコを率いたロサーノに打診か。現地メディアが報じる
森保ジャパンには遠藤保仁のような存在が必要だ! 明神智和が指摘したサウジ戦のわずかな“ズレ”
ピッチ内の戦犯探しの前に見るべき森保Jの大局。“設計力”の差がサウジ戦の結果に表われた
「W杯常連の日本が危うい」森保Jの窮地に伊紙も反応。吉田麻也の激昂には「ヨシダがサウジのファンに激怒」

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ