チャンピオンズ・リーグ（CL）のグループステージ第２節が、現地９月28～29日に実施される。最大の注目カードはやはり、パリ・サンジェルマンが本拠地パルク・デ・プランスにマンチェスター・シティを迎える一戦だ。両者は昨シーズンの準決勝でも対戦しており、そのときはシティが２試合トータル4-1（第１レグが２-１、第２レグ２-0）で勝利を収めている。

　今夏の移籍マーケットでリオネル・メッシをはじめ６人のレギュラークラスを獲得する大型補強を実現し、飛躍的に戦力値を高めたパリSGは、リベンジに燃えているだろう。気がかりは、そのメッシのコンディション。９月19日のリヨン戦で左膝を痛め、直近のモンペリエ戦は出場を見送った。

　ピッチに立てるかどうかは微妙な情勢で、メッシが間に合わない場合、アンヘル・ディ・マリアもサスペンションで起用できない右ウイングは、ユリアン・ドラクスラーが担うことになるか。システム自体に手を加える可能性もある。

　対するシティは、ほぼベストの布陣で臨めそうだ。９月25日に行なわれたプレミアリーグ６節、チェルシーとの大一番にも１-０で勝利を収めており、ジョゼップ・グアルディオラ率いるチームはさらに自信を深めているだろう。

　ひとつの見どころは、今夏に獲得したジャック・グリーリッシュをはじめ、タレントがひしめく前線の起用法だ。いわゆるゼロトップ戦術を採用している今シーズンは、CFに「偽９番」の機能を担わせている点も特徴的で、このポジションのファーストチョイスはフェラン・トーレスかフィル・フォデンが有力な選択肢として考えられる。あるいは昨シーズン同様、ケビン・デ・ブルイネの１トップ起用もありそうだ。

　チームの完成度で上回るのはシティだろう。在任６年目を迎えたペップの下、組織的戦術を極限まで練り上げてきたシティは、ポジショナルな組み立てとポゼッションによるボール支配、ラスト30メートルの崩し／仕掛けはもちろん、ボールを失ったあとのカウンタープレスに至るまで、そのクオリティーは欧州の最高峰と言っていいレベルに到達している。

　一方、パリSGの武器は言うまでもなくタレント力だ。組織力ではシティが明らかに上回るが、ネイマール、キリアン・エムバペ、そしてメッシを擁するパリSGにはそこに穴を開けるだけの圧倒的な個のクオリティーが備わっている。
 

　パリSGの不安要素を挙げるとすれば、敵陣に押し込んでボールを失った後のネガティブ・トランジション（攻→守の切り替え）だ。お世辞にも守備の貢献が高いとは言えないFWの３人は、カウンタープレスをしっかり遂行するタイプではなく、オープンスペースにボールを持ち出されてカウンターを喫するシーンがリーグ・アンでも散見され、実際に失点も少なくない。シティがもっとも得意とするプレーでもあるだけに、何らかの対策は必要だろう。マウリシオ・ポチェティーノ監督の采配にも注目だ。

　各ポジションや各エリアの局地戦も含め、欧州最高レベルの攻防がピッチのいたるところで繰り広げられるだろう、まさに至高のカード。ちなみに有力ブックメーカー『ウィリアム・ヒル』の見立ては、パリSGの勝利が2.90倍でシティの勝利が2.37倍とアウェーのシティがやや優勢（引き分けが3.50倍）だ。

　パリSGの圧倒的な個のクオリティーか、それともシティの組織力か。キックオフは日本時間９月29日（水）の朝４時だ。

パリSG予想布陣（SYSTEM 4-3-3）
FW：ネイマール、エムバペ、メッシ（ドラクスラー）
MF：ゲイエ、パレデス、アンデル（ヴァイナルドゥム）
DF：ディアロ（Ｎ・メンデス）、キンペンベ、マルキーニョス、ハキミ
GK：ナバス（ドンナルンマ）
故障欠場濃厚：Ｓ・ラモス、ヴェッラッティ
出場停止：ディ・マリア

シティ予想布陣（SYSTEM 4-3-3）
FW：グリーリッシュ（スターリング）、フェラン（フォデン）、Ｇ・ジェズス（マハレズ）
MF：B・シウバ、ロドリ（フェルナンジーニョ）、デ・ブルイネ
DF：カンセロ、ラポルト、ディアス、ウォーカー
GK：エデルソン
故障欠場濃厚：ギュンドアン、ジンチェンコ
出場停止：なし

文●加藤紀幸（ワールドサッカーダイジェスト編集長）

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