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旗手怜央から受けた刺激と選手たちに届いた粋な贈り物。静岡学園の先輩と後輩が築く幸せな関係【総体2回戦】

カテゴリ:高校・ユース・その他

松尾祐希

2021年08月18日

「旗手先輩は静岡学園で培った技術で勝負をしていた」

高川学園を2-0で下し、3回戦進出を決めた静岡学園。写真:松尾祐希

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[インターハイ2回戦]静岡学園2-0高川学園/8月16日(火)/日東シンコースタジアム丸岡人工芝グラウンド北コート

 一昨年度に冬の高校選手権を制した静岡学園が勢いに乗っている。

 1回戦で仙台育英に3−1で勝利し、迎えた高川学園との2回戦。前線からのハイプレスとロングボールを放り込む相手のサッカーに苦戦し、前半は思うようにボールを前に運べない。最終ラインやボランチから縦パスが入らず、ボールを失いたくないが故に後ろに戻す場面が多く見られた。

 しかし、川口修監督は選手たちに救いの手を差し伸べず、あえて静観。選手たち自身で切り抜けることを求めた理由について、指揮官はこう話す。

「最初から『下げるな』とは言わない。それが静岡学園で大事にしている指導。身を持って経験すれば、チームが成長していくからです。大人たちが先に教えてはいけないんです。経験値を高めていくことが選手権に生きてくる。(今日の試合のように)プレッシャーがきつくて前に出せない。その理由を考えて実感してほしいし、そうすれば理解もする」

 先回りして決して言わない。そうしたスタンスを貫くなかで、思いがけずにセットプレーのチャンスを生かす。前半の終了間際にCB行徳瑛(2年)が頭でネットを揺らしたのだ。

 精神的に余裕を持って迎えたハーフタイム。選手たちは苦戦した理由を自分たちで考え、後半のピッチに入った。すると、見違えるように動きが良くなり、最終ラインやボランチの選手が積極的に前へボールを配球。それを受けたサイドアタッカーの古川陽介(3年)、川谷凪(3年)らがゴール前で仕掛け、決定的なチャンスを何度も作っていく。

 追加点は後半アディショナルタイムに持山匡佑(3年)が奪った1得点のみだったが、静岡学園らしさを存分に発揮して3回戦進出を決めた。
 

旗手先輩から贈られたというベストを着用する静岡学園の選手たち。写真:松尾祐希

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 勝負が懸かった全国大会でしか得られない経験を積み、チームに自信が生まれているのは間違いない。

 そうしたチームにおいて、刺激になっている存在がいる。先の東京五輪に出場したOBの旗手怜央(川崎)だ。2013年度の選手権などに出場した先輩の活躍は、後輩たちにとって刺激になっている。多くの選手がテレビでその勇姿を見ており、行徳も先輩のプレーに刺激を受けたと話す。

「(今回のU-24日本代表の選手たちは)世界各国のリーグで戦っている選手が多いなかで、Jリーグで活躍している先輩が選ばれて活躍していました。自分たちが普段やっている練習メニューを通じて成長し、今はオリンピックの舞台で勝負している。

 自分たちもその舞台を目指せると思えたし、そういう先輩がいるのは心強い。海外で戦っている選手が多いなかで、旗手先輩は静岡学園で培った技術で勝負をしていた。静岡学園で技術を磨けば、自分もこの先、世界の舞台で戦えると思えました」

 実際にインターハイを迎えるにあたり、旗手からチームにメッセージなどがあったわけではない。しかし、先輩は後輩たちのためにさりげなくプレゼントを用意していたという。それが身体を冷やすベストだ。

「旗手怜央自身も試合中のハーフタイムに着用しているみたいで、保冷剤を上半身の6箇所に入れて、身体を冷やせるんです。オリンピックに出場した選手も何人か使っていたみたいですね。『総体で使ってほしい』と言ってくれて、本当に有難い」(川口監督)

 実際に着用した行徳も、「保冷剤が入っているので身体をすぐに冷やせる。クーリングブレイクの短い時間でも体温を下げて、暑さ対策ができるので助かっています」と先輩からの贈り物に頬を緩ませた。

 旗手への一番の恩返しは結果を残すことだ。夏のインターハイでさらなる成長を遂げ、必ず先輩に吉報を届けてみせる。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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