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スペイン戦後は目を真っ赤にし、声を震わせた三好康児。反骨心の塊は流した涙の分だけ強くなる【東京五輪】

カテゴリ:Jリーグ

サッカーダイジェスト編集部

2021年08月09日

「決めるか、決めないか。その差。一番は悔しい」

三好は準決勝のスペイン戦後、声を震わせながら悔しさを口にした。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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「自分の仕事にフォーカスする。役割を理解して、力を注げるように準備したい」

 3人のオーバーエイジを除けば、最年長組の三好康児は、気持ちを整理していた。チーム内の最激戦区となった2列目の柱が、自身の年下ながらA代表の常連である久保建英、堂安律と理解していたからだ。

 直前合宿に加え、ホンジュラスとの強化試合ではあまり経験のない左サイドを担った。自分が力になれるのなら——。すべてを受け入れた。

 準決勝のスペイン戦。三好は大きな仕事を任された。スコアレスのままで前後半を終えると、久保と堂安を同時に下げる勝負の決断を下した森保一監督から、ピッチに送り込まれたのだ。

「(相手DFの)間に入り、効果的に顔を出していけ」

 その指示の通り、三好はスペースを探り、そこに潜り込もうとする仕掛けの動きを繰り返した。ただ、スペインの守備網を破るには至らず、指揮官の思いに応えられなかった。0-1で敗れた試合後は目を赤くしながら、「決めるか、決めないか。その差。一番は悔しい」と声を震わせた。
 
 涙もろいのは幼い頃から変わらない。川崎フロンターレの下部組織時代、課題をこなすために日が暮れるまで自主練習した。

「本当に上手ければ、(久保)建英みたいに、海外に行くんだ」

 指導者からそんな発破もかけられた。雨の日でも家を飛び出し、できない自分にイライラしてはボールを蹴った。涙があふれる。それでもできるまで止めない。そうやって一つひとつの技術を習得。うまくいかなければ、試合中でも泣き出してしまう少年は反骨心を胸に、涙を流した分だけ強くなった。

 身長167センチと小柄ながら、培った技と負けん気でプロの世界を戦い続けている。ただ各世代別代表を経て、満を持して臨んだ五輪ではフランス戦で1ゴールこそ決めたものの、全体を通して納得のいく結果は残せなかった。

 次に目指す大舞台は、カタール・ワールドカップ。五輪で得たものは血となり肉となるだろう。三好の新たな戦いはすでに始まった。

構成●サッカーダイジェスト編集部

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