• トップ
  • ニュース一覧
  • 吉田麻也が手にした勲章。偉大な主将の存在は仲間たちの記憶の中で生き続けるはずだ【東京五輪】

吉田麻也が手にした勲章。偉大な主将の存在は仲間たちの記憶の中で生き続けるはずだ【東京五輪】

カテゴリ:日本代表

唐沢裕亮

2021年08月08日

取材エリアでは、いつもチームのために言葉を紡いだ

ピッチ内外で頼りになった吉田。“三度目の正直”はならずも、強い責任感と覚悟で最後まで懸命に戦い抜いた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

画像を見る

 東京五輪に懸ける思いは誰よりも強かった。19歳で臨んだ2008年の北京五輪は3戦全敗に終わり、オーバーエイジ(OA)としてキャプテンマークを巻いた12年ロンドン五輪は、準決勝で宿敵・韓国に0-2で敗れてメダルにあと一歩届かず、涙をのんだ。

「メダリストになる」と誓い、再びOAの主将として挑んだ自国開催の東京五輪だった。

「やり残したことがある」

 9年前の苦い記憶がずっと心に引っ掛かっていた。太極旗をはためかせて歓喜する韓国の選手たち。韓国の先制点は、ロングボールの目測を誤った自らのミスがきっかけだった。過去の悔しさと決別するにはメダルしかない。その思いが、五輪に三度、挑戦するモチベーションになったのは間違いない。

 大会を通じて、プレーと言葉でチームを牽引した。欧州に主戦場を移して10年が過ぎ、日本の夏の暑さは大きな負担になったはずだ。それでも今月24日に33歳となるチーム最年長は、厳しい日程にもかかわらず全6試合にフル出場。自陣ゴール前で、足を投げ出しては幾度も相手の決定機を防ぎ、森保一監督の絶大な信頼に応えた。
 
 試合後の取材エリアでは、いつもチームのために言葉を紡いだ。

 南アフリカに1-0で勝ったグループステージ(GS)初戦の後には、「もっともっとできる。こんなもんじゃない」とチームを鼓舞した。GS2節のメキシコ戦後には、ゴールを挙げた久保建英と堂安律に、「決定的な仕事をして、一皮、二皮剥けて突き抜けてほしい」と発破をかけた。「メダルを確定させるのがオーバーエイジの使命」。準々決勝のニュージーランド戦後には、そんな言葉で自らの責任感と覚悟を示した。

 延長戦の末、スペインに惜敗した準決勝の直後には円陣を組み、「ここで終わってはいけないぞ。もうひとつ踏ん張っていこう」と、下を向く仲間たちに檄を飛ばした。それでもショックを拭えないチームの雰囲気を感じ取り、翌日にはミーティングを開催。同じOAで、ロンドン五輪を知る酒井宏樹とともに、韓国に敗れた9年前の映像を見せて皆の気持ちを奮い立たせた。「悔しい思いをして終わりたくないし、その経験をまた麻也さん(吉田)、宏樹さん(酒井)にさせたくない」とGK谷晃生。主将の思いは確かに通じた。

 さまざまな思いを抱えて臨んだメキシコとの3位決定戦は、1-3の敗戦。悲願のメダル獲得はならなかった。ただ、吉田は五輪での通算出場が13試合に達し、歴代最多出場記録という勲章を手にした。22人のメンバー全員が、再び同じチームでプレーすることはないだろう。しかし偉大な主将の存在は、各選手の記憶の中で生き続けるはずだ。

取材・文●唐沢裕亮(東京新聞)

【五輪代表PHOTO】U-24日本 1-3 U-24メキシコ|三笘が反撃の1点を返すも追加点が遠くメキシコに敗戦 53年ぶりのメダル獲得とはならず...
 
【関連記事】
「残酷な結末」ブラジルに決勝で敗れたスペイン代表、現地紙はため息「運を使い果たした」【東京五輪】
「自分の力不足」吉田麻也がメキシコ戦3失点に猛省。U-24代表の総評は?「仲が良いなかでも…」【東京五輪】
まさかの0-3に呆然と立ちすくんだ日本。ただ一人、戦う姿勢を見せた男がいた【東京五輪】
【セルジオ越後】久保くんの涙に感動とか言ってる場合じゃない! プロにドンマイ、ドンマイなんて必要ないよ
「最後までかっこよかった」メキシコ戦後の久保の涙、吉田のコメントに岩渕真奈も感動!【東京五輪】

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ