鹿島戦で先制点を決めた今野。「今までの鹿島ほど、正直、怖さはなかった」。
32歳の今野泰幸は、鹿島戦後に「満足したら終わり」という言葉を何度も口にした。
未消化だった10節の鹿島戦。前半終了間際に遠藤保仁が放ったFKはGK佐藤昭大にパンチングされるも、そのこぼれ球に素早く反応した今野がダイレクトで合わせて先制点を呼び込んだ。
もっとも、本人は「偶然ですね。別に強いシュートでもないし、ただ足を出しただけ。全然狙っていなくて、ゴールへのパスというか、クリアという感覚に近い」と謙遜する。
一方の守備では、上がりを自重しながら危険なエリアをケアし、ピンチの芽を何度も摘んだ。試合後、「トップ下の(土居)聖真が、前半から嫌なところにいた」と振り返る。
「ヤットさん(遠藤保仁)と僕の2ボランチが、鹿島の2ボランチに食い付きすぎると、聖真がどうしても浮いてしまう。そこのケアをどうするか、というのが僕の中にあった。2トップ(宇佐美貴史、パトリック)の1枚に頑張ってもらって、ボランチのコースを消したり、後ろからプレッシャーをかけてもらったりしながら時間を進めた」
今野の先制点で主導権を握ったG大阪は、後半早々にも遠藤のPKで追加点。中盤のバランス取りに苦心した今野だが、この日の鹿島にそれほど怖さは感じなかったという。
「今までの鹿島ほど、正直、怖さはなかった。良い時の鹿島はチーム全員でプレーするし、SBがどんどん上がって来て、SBでもダイアゴナルランで(中に)入ってきて、ゴールに直結するようなシュートやパスをする。とにかく裏をどんどん狙ってくる。今日は足もとが多くて、僕らが先制してブロックを作ったからかもしれないけど、あまり裏を狙う意識を感じなかった」
攻守両面で鹿島を凌駕し、2-0と完勝を収めたものの、今野は「これで満足したら終わり」と再び口にする。チームの課題に挙げたのは「ボールを取ってからのスムーズさ」だ。
「今日はたまたま2トップだけで行けたけど、そこが抑えられた時は、ボランチやSBが起点になりながら、みんなでボールを押し上げないといけない。僕自身を含めて、そこはまだまだできていない」

今野が先制点を奪うと、52分には遠藤がPKで追加点(写真)。G大阪が2-0で完勝するも、今野は「ボールを取ってからのスムーズさ」を課題に挙げる。 写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)