日本に１-４で敗れたタジキスタンだが、それなりに力のある相手だったと思う。最終予選進出の可能性が残されている彼らは、勝点１でも必死に取りに来ようとする姿勢を見せていたし、個々の技術もしっかりしていて、フィジカルも強い。

　先制はされたけど、一度は同点に追いついてみせた。攻撃も行き当たりばったりではなく、つなぐ意識が高い。スコアが示すとおり、今はまだ日本との実力者があるかもしれないが、将来的には手強い国になりそうだ。

　こうした国が増えてくるのは良いこと。アジア全体のレベルの底上げになるし、そこで切磋琢磨して高め合えれば、お互いの成長にもつながる。ワールドカップで上に勝ち進んでいくために、日本にとってもプラスなことだ。

　そのタジキスタンとの試合で際立つパフォーマンスを見せていたのが古橋だ。６分に貴重な先制点を奪い、１-１で迎えた40分にチーム２点目となる南野の“W杯予選７試合連続弾”をアシスト。スタメンに抜擢されてフル出場。与えられたチャンスで見事に結果を出してみせた。

　優れたスプリント能力に加え、運動量も豊富で、守備も献身的。右でも左でも真ん中でも計算できる。そして決定的な仕事もこなす。今後が楽しみな選手だ。

　南野のゴールをアシストする前の動き出しも見事だった。山根の縦パスに反応して相手DFの裏を取る。抜け出す直前には、近くにいる相手の視野に入るように、いったん引くふりをしている。その所作が秀逸だった。視野に入りすぎると、裏に抜け出すのが遅れてしまう。ギリギリのラインで、相手の目をよく見ながら、引いて、逆をつく。

　これはもうセンスだ。FWとして、何回もやってきて身に付けたものだろう。敵陣右サイドを深くえぐって、クロスを供給。これにダイレクトで合わせた南野も素晴らしかった。簡単に決めているけど、相当に難しいシュートだったと思う。
 

　走り込みながら、インパクトの瞬間に左足の足首を固めて角度を作り、確実にゴールにねじ込む。高い技術がないと、あれはできない。スーパーゴールだよ。

　南野はこの１点以外では、そこまで見せ場を作ることはできなかったが、それでもワンチャンスをモノにしてみせる。その勝負強さはさすがだった。

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