本田も成す術なし……“最悪”の前節より酷かった弱小ミラン――ミラン 1-3 ジェノア

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2015年04月30日

無抵抗で相手の攻撃を許し、攻撃ではただ前線に放り込むだけ。

本田はよく動いたが、そのなかで効果的なプレーや位置取りは少なかった。今のチーム状況では、彼のようなタイプは活きづらい……。 (C) Getty Images

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メネーズは警告2回で退場。その他にも幾人かの主力選手を欠いた状態で、ミランは次節、強豪ナポリと戦わなければならない。 (C) Getty Images

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 セリエA第33節、ミランはホームでジェノアに1-3の敗北。前節のウディネーゼ戦に続き、内容でも押され続けての完敗を喫した。
 
 懲罰的な意味合いの合宿のため、この1週間をミラネッロで過ごしたミラン。フィリッポ・インザーギ監督と一部選手の確執も浮き彫りになるなど悪い面ばかりが噴出したが、その一方でここからいかなる浮上を見せるかという期待もわずかながらにあった。
 
 ただ、ピッチに立った11人は、5試合ぶりに出場した本田圭佑、DFのマッティア・デ・シリオを除けば、前節と同様の顔ぶれ(アディル・ラミとアレッシオ・チェルチは交代出場)。これで劇的な変化を起こせるとは思えず、耐え忍ぶ展開が予想された。
 
 そして試合開始とともに予想は当たり、わずかな期待はすぐに裏切られた。ウディネーゼ戦同様、開始1分にも満たないうちに際どいシュートを浴びるミラン。この試合、GKディエゴ・ロペスの好セーブがなければ、果たして何点失っていたことだろうか。前半だけでも4、5点を失っていてもおかしくなかった。
 
 そうなったのは、ミランに守備というものが存在しなかったからだ。組織としての守備が機能しないのはいつものことだが、さらに個々でもプレッシャーをかける動きが見られない。FW陣は比較的守備ではハードワークを見せたものの、それ以外は存在感が乏しく、無抵抗で相手に自由なプレーを許してしまった。
 
 37分のアンドレア・ベルトラッチによるジェノアの先制ゴールは、ハーフライン付近からのドリブルによるものだったが、彼はほとんどプレッシャーを受けることなく、難なくDFひとりをかわしてゴールに流し込んだ。
 
 守備が悪いだけでなく、攻撃でも無策のミラン。最終ラインでボールを奪っても、ボールの出しどころがない。中盤というものが存在しないチームの採れる手段は、可能性の低いロングボールを前線に放り込むだけだった。
 
 本田は何とかしようとして頻繁にポジションを変え、中盤まで下がってボールを受けたりもしたが、動きの少ない味方選手はいずれも相手にマークされており、パスの出しどころを探す間に、本田自身が相手の厳しい守備のえじきとなってしまった。
 
 やる気がないのか、萎縮してしまっているのか、全く躍動感のないチーム。ここまで落ち込んでしまったのなら、誰かひとりぐらいはバランスを崩す覚悟でスペースに走り込むなどの思い切った動きを見せても良かったのではないかと思われるが、ミランは個々が淡々と、そして小さく動くだけだった。
 
 この試合、ミランは前節からの“変化”を示す必要があったはずだが、選手の顔ぶれも、プレーも、そして気持ちの面でも、何ら違いはなかった。そしてハーフタイムを終えてピッチに戻ったメンバーにも変化はなし。選手もさることながら、何ら打つ手のない指揮官の限界も改めて感じられた。
 
 プレーも最悪なら、点の取られ方も取られる時間も最悪。反撃を狙って臨んだ後半、開始4分で追加点を献上して出鼻をくじかれるが、これはDFラインを破られ、サイドで翻弄されての失点だった。

 ちなみにこのゴールが、ミランでは低評価で出場機会に恵まれず、今冬にレンタル移籍して躍動したエムバイ・ニアングによって決められたのは、何とも皮肉な話である。
 
 ジェノアとは14節に対戦して0-1で敗れている。この時も内容ではスコア以上の差があったが、今回はさらに差は広がってしまった。本来の攻撃の中心選手であるディエゴ・ペロッティが負傷していなければ、さらなる惨状をミラニスタは目の当たりにすることになったかもしれない。
 
 ウディネーゼ戦は最悪と評されたが、ジェノア戦のミランはそれ以上に酷かった。心・技・体の全てで改善がなされなかったことで、見る者の失望は大きい。この2試合でどれだけのファンの心が、このチームから離れてしまったことだろうか……。
 
 66分にCKからフィリップ・メクセスが素晴らしいダイレクトでのミドルを決めて1点差に迫るも、そこで勢いづくこともなく、終盤でややプレーが雑になったジェノアを追い詰められず。逆にジェレミー・メネーズが無益なファウルでこの試合2度目の警告を食らうなど、今後にさらなるダメージを残しただけだった。
 
 失態以外の何も見せられない選手たち、そんな選手を奮い立たせられず、ベンチワークで流れを変えることもできない監督。そして全てを先延ばしにしたことで、現在の悲惨な状況を作り出してしまったフロント……ミランの歴史的な大不振はクラブぐるみのものであり、彼らが落ちた穴は底なしで、その闇は相当に深い。

ジェノアは攻守において組織力が高く、ミランとは真逆の存在だった。写真はアディショナルタイムにイアゴ・ファルケがとどめのPKを決めた場面。イアゴは2点目の場面でも、右サイドでミランDF陣を翻弄した。 (C) Getty Images

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