• トップ
  • ニュース一覧
  • ようやく“チームになった”ミランだが、最大の目的は果たせず――ミラン 1-1 サンプドリア

ようやく“チームになった”ミランだが、最大の目的は果たせず――ミラン 1-1 サンプドリア

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2015年04月13日

守備の組織は向上するも悪癖が顔を出し、攻撃では人材不足…。

守備でも効果的なプレーを見せていたデヨングの、意地のシュートがオウンゴールを生み出した。悪い流れのなかでもゴールを奪えるようになったのはチームとしての成長点だ。 (C) Getty Images

画像を見る

危険な場面でのミス、ボールを見て相手選手を見失うミランの守備時における悪癖はいまだ消えず。写真はソリアーノ決勝点の場面。一方、このゴールを演出したエトーは、シュート、ドリブル、パスで一流の技を披露した。 (C) Getty Images

画像を見る

 セリエA第30節、ミランはホームでサンプドリアに1-1の引き分け。3連勝はならなかった。
 
 欧州カップ圏内の5位につけているチームとの直接対決ということで、勝点差を詰めるチャンスだったが、目論見は崩れ、ヨーロッパリーグ出場権はやや遠のくこととなった。
 
 何よりも欲しかった勝点3を逃がしたという意味ではネガティブな90分間と言えるが、その内容については目に見える進歩があったのも事実であり、失望とともに今後に期待も残す一戦となった。
 
 最も良かったのは守備の向上。人数をかけても“ザル状態”だったこれまでとは違い、少人数でもうまく絞り込み、相手陣内でも自陣でもボールを奪うことができた。また、自陣ゴール前の守備についても、大体の時間帯で組織として意思統一はなされており、奪いに行くか、下がってコースを潰すか、という判断も悪くなかった。
 
 良いかたちでボールを奪うと、その後の攻撃でも良さが引き出された。各選手が比較的広いスペースで前を向いてボールを持てることで、アレッシオ・チェルチは躍動し、ジェレミー・メネーズもいつも通りに相手に脅威を与えるプレーを再三披露できた。
 
 攻守で目立ったのは、CFマッティア・デストロ。前線に留まるだけでなく、下がって積極的に守備に絡むことで、ボール奪取に貢献しただけでなく、上下の動きが相手を引きつけることで味方にスペースを提供することにも繋がった。
 
 もうひとりはMFのマルコ・ファン・ヒンケル。いつも以上に良いタイミングで攻撃に顔を出し、枠を捉えられなかったものの、惜しいミドルを幾度も放って攻撃に厚みを加えた。守備でも、最終ラインまで下がってピンチを防ぐ場面が何度か見られたものである。
 
 強いチームであれば当たり前に見せるプレーが、ここにきてようやくミランでも見られたことで、前半は危険な場面も少なく、ファンもいつも以上に安心してプレーを見ていられたことだろう。それは後半に入っても変わらなかった。
 
 にもかかわらず、先制点はアウェーチームに生まれた。原因は、ミランのミスである。危険な位置でボールを奪われてカウンターを食らい、組織としては良さを見せていたDF陣も、失点時にはボールウォッチャーとなり、サミュエル・エトーからロベルト・ソリアーノのラストパスを簡単に許してしまった。
 
 ミスが即決定的なピンチに繋がる点は、これまでと変わりはなかった。これはつまり、ミスをしてはいけない場面でミスを犯しているということである。そんな光景は、この試合でも再三見られた。
 
 良い雰囲気のなかで自ら危険を招いて失点を喫したことにより、ミランのプレーは一気に雑になった。また、現時点で理由は不明だが、プレーも悪くなく、相手DFを引きつける役割も担っていたチェルチを失点直後にスソと代えたフィリッポ・インザーギ監督の采配も微妙であり、ここから立て直すのは難しいと思われた。
 
 しかし73分、CKから浮き球をナイジェル・デヨングがオーバーヘッド気味にシュートすると、ボールがジョセフ・アルフレド・ダンカンの伸ばした足に当たってコースが変わり、幸運なオウンゴールとなった。
 
 再び勝利のチャンスを得たミランは、ここからまた勢いを得、何度もサンプドリアのゴールに迫ったが、組織を整えた相手に守備を崩すだけのアイデア、工夫、人数が足りず、結局は勝点1を分け合うこととなった。
 
 メネーズはこれまで以上にチャンスメーカーとして機能し、何度も効果的なパスを通したが、これに続く図抜けたタレントが今のミランにはいない。チェルチも良いプレーを見せ、43分にはメネーズとの緩急の変化をつけたコンビプレー(これまでのミランでは見られなかったプレーだ)で決定機を得たが、彼はパスにせよシュートにせよ、最後の部分で雑な面が顔を出してしまった。
 
 このような陣容で今後の試合に勝ち続けるのは簡単ではないが、可能性を信じて欧州カップ圏内を目指すしかない。そのために勢いをつける意味では、次節のミラノ・ダービーはうってつけの機会となる。この伝統の一戦での勝点3は、残り試合を勝ち抜くほどのエネルギーを勝者に与えるはずだ。 

 今節はヴェローナ相手に要領良く3ゴールを決め、24節カリアリ戦以来の勝利を飾ったものの、フレディ・グアリン、マルセロ・ブロゾビッチのMF陣2人が累積警告を受けたインテルと、徐々に怪我人が復帰しているミランがいかなる戦いを見せるかが興味深い。

 そして、今節は共に出場機会のなかった本田圭佑、長友佑都の勇姿も、満員となったサン・シーロのピッチで是非目撃したいところだ。
【関連記事】
【移籍市場超速報】ミハイロビッチはミラン? ナポリ? 熱を帯びる「監督市場」にも注目!
ブーイングが鳴りやまないサン・シーロ……不甲斐なき2015年のミラノ勢
【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「ミランの低迷が各国代表選手に与えた影響とは」
ミラン連勝!! 欠場の本田はポジション争いで後れをとった!?――パレルモ 1-2 ミラン
【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「選手たちの本音からミランの根本的問題が見える」
【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「本田へのブーイング…その背景にある事情とは」

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ