集中力を削がれるような状況で連勝を飾ったことは評価できる。

不格好かつ幸運なかたちでも、チェルチ(22番)にとってはうれしいミラン加入後初ゴール。これまで窮屈そうにプレーしていた彼が、パレルモ戦ではその能力の片鱗を見せた。 (C) Getty Images

サリ・ムンタリの招集拒否など、チームが一枚岩となっていないなか、勝利は状況を打破する唯一の手段。だからこそ、メネーズの決勝ゴールでの際のインザーギ監督の喜び方は今までで一番激しかった。 (C) Getty Images
セリエA第29節、ミランは敵地でパレルモを2-1で下し、今シーズン3度目の2連勝を果たした。
過去2度の連勝では、本田圭佑が4試合全てでゴールを挙げて(全5得点)勝利に大貢献したが、今回の連勝においては、前節カリアリ戦ではブーイングを浴びながら途中交代、そして今節は足首のねん挫で欠場と、喜びの中心に身を置くことはできなかった。
クラブの株式売却や、主力選手の出場ボイコットともいうべき招集拒否など、現場の集中力を削ぐようなニュースが多いなか、いったんは同点に追いつかれながらも勝ち越した今節のミランに対しては、ある程度の評価を与えることができる。
アレッシオ・チェルチによる37分の先制ゴールは、速攻からのイグナツィオ・アバーテとマルコ・ファン・ヒンケルの右サイドにおけるスムーズなコンビプレーから生まれた。クロスボールは相手GKが先に触ったものの、こぼれたところでチェルチの膝に当たってゴールラインを割った。
72分にパウル・ディバラのPKで追いつかれて嫌なムードが漂うのなか、残り7分で奪った決勝点は、ジェレミー・メネーズがチャンスを見逃さずにワンタッチでふたりのDFを置き去りにし、迫力のあるドリブルとシュートで豪快にゴールネットを揺さぶったというものだった。
この試合、パレルモ守備陣が広大なスペースと時間的余裕を与えてくれたことで、とりわけチェルチとジェレミー・メネーズがスピーディーな突破力を披露する機会に恵まれた。
とはいえ、その与えられたチャンスを効率よく活用していたとは言い難い。メネーズ、チェルチが良いかたちでボールを得てドリブルを開始しても、これにMFやSBがタイミング良く絡んでぶ厚い攻撃を構成できた時間帯はほんのわずか。2選手は孤立し、無理にCFのマッティア・デストロに出そうとして簡単にカットされることも多かった。
守備は相変わらずの脆弱ぶり。中盤よりも前ではマークを絞ることができず、簡単に自陣のペナルティエリア手前まで侵入されてしまう。この位置での攻撃のバリエーションはパレルモの方がはるかに多く、ミランDF陣はパスワークで翻弄されることが少なくなかった。
しかし、このような状況で失点を1に抑えて勝点3を手にしたことは、現在のミランにとっては最大の収穫である。メネーズによる勝ち越しの後、フィリッポ・インザーギ監督がゴールライン際まで駆け寄って祝福した場面に、このゴール、そしてこの時期の連勝がミランにとってどれほど重要かがうかがい知れた。
では、果たしてこれでミランは勢いを掴めるだろうか。わずかに可能性を残す欧州カップ出場権を得るためには、残り試合で勝ち続けるしかないが、この時期になっても組織力の脆弱なチームとしては、カウンターと個人の力に頼るしかないだろう。
その点で、パレルモ戦ではこれまで以上に伸び伸びとプレーしていたチェルチ(コンビネーションではデストロになかなかパスが繋がらず互いに不穏なムードが漂っていたが)の存在がこの先は脚光を浴びるかもしれない。
本田の怪我は全治2週間といわれている。インザーギ監督は本田の献身的なプレーと繋ぎ役としての働きを高く評価しているが、チームとして組織が構築されていないなかで、シーズン中盤以降は決定的な仕事が全くできないでいる。
守備の貢献云々がいわれるものの、それもミランの失点の減少や敗戦回避に結びついているわけでなく、目に見える貢献を果たせていないことでメディアやサポーターからの風当たりは強くなる一方である。
もしパレルモ戦で本田が出場していた場合、周囲のサポートを受けられない状況では、突破力を持たない本田は孤立して、今回のチェルチほどの印象を与えることはできなかっただろう。実際、過去数試合がそうだった。パス出しにおけるコース、スピード、タイミングの良さは彼にしかないものだが、今のミランではそれを活かす機会がほとんどない。
パレルモ戦のチェルチが抜群に良かったわけではないが、不格好ながらも貴重な先制点を挙げるという目に見える結果を残し、いくつかチャンスも生み出した。ミランの現状を踏まえると、前線右サイドのポジション争いにおいて本田は後れをとったと言えるかもしれない。果たして、インザーギ監督の心の内はどうであろうか。
過去2度の連勝では、本田圭佑が4試合全てでゴールを挙げて(全5得点)勝利に大貢献したが、今回の連勝においては、前節カリアリ戦ではブーイングを浴びながら途中交代、そして今節は足首のねん挫で欠場と、喜びの中心に身を置くことはできなかった。
クラブの株式売却や、主力選手の出場ボイコットともいうべき招集拒否など、現場の集中力を削ぐようなニュースが多いなか、いったんは同点に追いつかれながらも勝ち越した今節のミランに対しては、ある程度の評価を与えることができる。
アレッシオ・チェルチによる37分の先制ゴールは、速攻からのイグナツィオ・アバーテとマルコ・ファン・ヒンケルの右サイドにおけるスムーズなコンビプレーから生まれた。クロスボールは相手GKが先に触ったものの、こぼれたところでチェルチの膝に当たってゴールラインを割った。
72分にパウル・ディバラのPKで追いつかれて嫌なムードが漂うのなか、残り7分で奪った決勝点は、ジェレミー・メネーズがチャンスを見逃さずにワンタッチでふたりのDFを置き去りにし、迫力のあるドリブルとシュートで豪快にゴールネットを揺さぶったというものだった。
この試合、パレルモ守備陣が広大なスペースと時間的余裕を与えてくれたことで、とりわけチェルチとジェレミー・メネーズがスピーディーな突破力を披露する機会に恵まれた。
とはいえ、その与えられたチャンスを効率よく活用していたとは言い難い。メネーズ、チェルチが良いかたちでボールを得てドリブルを開始しても、これにMFやSBがタイミング良く絡んでぶ厚い攻撃を構成できた時間帯はほんのわずか。2選手は孤立し、無理にCFのマッティア・デストロに出そうとして簡単にカットされることも多かった。
守備は相変わらずの脆弱ぶり。中盤よりも前ではマークを絞ることができず、簡単に自陣のペナルティエリア手前まで侵入されてしまう。この位置での攻撃のバリエーションはパレルモの方がはるかに多く、ミランDF陣はパスワークで翻弄されることが少なくなかった。
しかし、このような状況で失点を1に抑えて勝点3を手にしたことは、現在のミランにとっては最大の収穫である。メネーズによる勝ち越しの後、フィリッポ・インザーギ監督がゴールライン際まで駆け寄って祝福した場面に、このゴール、そしてこの時期の連勝がミランにとってどれほど重要かがうかがい知れた。
では、果たしてこれでミランは勢いを掴めるだろうか。わずかに可能性を残す欧州カップ出場権を得るためには、残り試合で勝ち続けるしかないが、この時期になっても組織力の脆弱なチームとしては、カウンターと個人の力に頼るしかないだろう。
その点で、パレルモ戦ではこれまで以上に伸び伸びとプレーしていたチェルチ(コンビネーションではデストロになかなかパスが繋がらず互いに不穏なムードが漂っていたが)の存在がこの先は脚光を浴びるかもしれない。
本田の怪我は全治2週間といわれている。インザーギ監督は本田の献身的なプレーと繋ぎ役としての働きを高く評価しているが、チームとして組織が構築されていないなかで、シーズン中盤以降は決定的な仕事が全くできないでいる。
守備の貢献云々がいわれるものの、それもミランの失点の減少や敗戦回避に結びついているわけでなく、目に見える貢献を果たせていないことでメディアやサポーターからの風当たりは強くなる一方である。
もしパレルモ戦で本田が出場していた場合、周囲のサポートを受けられない状況では、突破力を持たない本田は孤立して、今回のチェルチほどの印象を与えることはできなかっただろう。実際、過去数試合がそうだった。パス出しにおけるコース、スピード、タイミングの良さは彼にしかないものだが、今のミランではそれを活かす機会がほとんどない。
パレルモ戦のチェルチが抜群に良かったわけではないが、不格好ながらも貴重な先制点を挙げるという目に見える結果を残し、いくつかチャンスも生み出した。ミランの現状を踏まえると、前線右サイドのポジション争いにおいて本田は後れをとったと言えるかもしれない。果たして、インザーギ監督の心の内はどうであろうか。

アンドレア・ベロッティの切り返しに対応できなかったガブエリエル・パレッタがPKを献上し、これをディバラに決められた。ここから一気に崩れて逆転負けという最悪のシナリオが見る者の頭をよぎったが、この日のミランはここで踏ん張った。バラバラになっているといわれるチームだが、選手個々の胸には名門クラブにありながら非難と嘲笑を浴び続けるこの屈辱を晴らしたいという強い思いはあるだろう。 (C) Getty Images