3トップにチャンスを提供し、中盤ではクロースを復活させる。
チームがひとりの選手で成り立つことはない。サッカーは11人のスポーツであり、どれだけ素晴らしい選手でも、ひとりで試合に勝つことはできないからだ。
しかし、チームが機能するために欠かせない選手というものは存在する。たとえ目立たずとも、陰でチームの背骨を支える選手だ。そして現在のレアル・マドリーにも、そんなMFがいる。
3月23日、私はフランス代表の合宿が行なわれているクレールフォンテーヌで、カリム・ベンゼマ、ラファエル・ヴァランヌと話していた。話題は、前日にカンプ・ノウで行なわれたクラシコについてだった。マドリーは2-1でバルセロナに敗れたが、それでも若きCBの顔には自信すら浮かんでいた。
「人々は、もしかしたら気がつかないかもしれない。“彼”が僕らにとって、いかに大事な選手なのかということを」
そう語るヴァランヌにベンゼマも同調する。
「“彼”が凄いのは、ボールを前に運べるという点だ。相手の中盤と最終ラインの間にパスを通せるし、自らも入っていける。彼はとても重要な存在なんだ」
ふたりの意見は正しい。彼、ルカ・モドリッチはチームで唯一、ボールを前に運べる選手だ。狭いゾーンに飛び込むことができ、FW陣に縦パスを当てることができる。それは、トニ・クロースにも、イスコにもできないことだ。
先日のクラシコは、そんなモドリッチの存在をより際立たせた。マドリーは60分間、バルサを上回るパフォーマンスを見せた。チャンスも多く、チームは2014年の勢いを取り戻したかのようだった。
この「60分間」とは、モドリッチがプレーした時間でもある。4か月間も離脱していた彼には、それが限界だった。モドリッチがピッチを去ると、マドリーからはそれまでのリズムが消え失せた。
私は、クロースを批判するつもりは全くない。彼もまた、マドリーの鍵を握る存在であることは明らかだ。言いたいのは、クロースとモドリッチではタイプが異なるということ。クロースはより低い位置、最終ラインの前でプレーし、モドリッチのように前線へ顔を出すことは少ない。そのことが、彼の存在感を薄くしている。
カルロ・アンチェロッティ監督も、クロースの攻撃参加をあまり好まない。彼は今シーズン、チームで最も出場時間が長い。アンチェロッティ監督はクロースを絶対的に信頼しており、休ませるわけにはいかないのだ。
指揮官のサミ・ケディラとアシエル・イジャラメンディに対する評価は非常に低い。ケディラは来夏に移籍する意向を『マルカ』紙に語り、イジャラメンディも放出は間違いない。今後もマドリーの中盤の柱となるのは、モドリッチとクロースである。
クロースもまた、モドリッチの恩恵を受けている。感覚が近いようで、パスワークなどを見ても非常にやりやすそうだ。モドリッチの復帰により、今後はクロースのプレーも活性化されるだろう。
モドリッチは、マドリーの攻撃を多彩にする。その縦パスは崩しのスイッチとなり、クリスチアーノ・ロナウドやガレス・ベイル、そしてベンゼマのチャンスへと繋がる。そして中盤では、クロースをも復活させようとしている。
目立たず、静かにパスを繋ぐモドリッチ。彼こそが現在、マドリーで最も重要な選手なのだ。
文:パブロ・ポロ
翻訳:豊福晋
Pablo POLO|MARCA
パブロ・ポロ/マルカ
スペイン最大のスポーツ紙『マルカ』でレアル・マドリー番を務める敏腕記者。フランス語を操り、フランスやアフリカ系の選手とも親密な関係を築いている。アトレティコ番の経験もあり、首都の2大クラブに明るい。
しかし、チームが機能するために欠かせない選手というものは存在する。たとえ目立たずとも、陰でチームの背骨を支える選手だ。そして現在のレアル・マドリーにも、そんなMFがいる。
3月23日、私はフランス代表の合宿が行なわれているクレールフォンテーヌで、カリム・ベンゼマ、ラファエル・ヴァランヌと話していた。話題は、前日にカンプ・ノウで行なわれたクラシコについてだった。マドリーは2-1でバルセロナに敗れたが、それでも若きCBの顔には自信すら浮かんでいた。
「人々は、もしかしたら気がつかないかもしれない。“彼”が僕らにとって、いかに大事な選手なのかということを」
そう語るヴァランヌにベンゼマも同調する。
「“彼”が凄いのは、ボールを前に運べるという点だ。相手の中盤と最終ラインの間にパスを通せるし、自らも入っていける。彼はとても重要な存在なんだ」
ふたりの意見は正しい。彼、ルカ・モドリッチはチームで唯一、ボールを前に運べる選手だ。狭いゾーンに飛び込むことができ、FW陣に縦パスを当てることができる。それは、トニ・クロースにも、イスコにもできないことだ。
先日のクラシコは、そんなモドリッチの存在をより際立たせた。マドリーは60分間、バルサを上回るパフォーマンスを見せた。チャンスも多く、チームは2014年の勢いを取り戻したかのようだった。
この「60分間」とは、モドリッチがプレーした時間でもある。4か月間も離脱していた彼には、それが限界だった。モドリッチがピッチを去ると、マドリーからはそれまでのリズムが消え失せた。
私は、クロースを批判するつもりは全くない。彼もまた、マドリーの鍵を握る存在であることは明らかだ。言いたいのは、クロースとモドリッチではタイプが異なるということ。クロースはより低い位置、最終ラインの前でプレーし、モドリッチのように前線へ顔を出すことは少ない。そのことが、彼の存在感を薄くしている。
カルロ・アンチェロッティ監督も、クロースの攻撃参加をあまり好まない。彼は今シーズン、チームで最も出場時間が長い。アンチェロッティ監督はクロースを絶対的に信頼しており、休ませるわけにはいかないのだ。
指揮官のサミ・ケディラとアシエル・イジャラメンディに対する評価は非常に低い。ケディラは来夏に移籍する意向を『マルカ』紙に語り、イジャラメンディも放出は間違いない。今後もマドリーの中盤の柱となるのは、モドリッチとクロースである。
クロースもまた、モドリッチの恩恵を受けている。感覚が近いようで、パスワークなどを見ても非常にやりやすそうだ。モドリッチの復帰により、今後はクロースのプレーも活性化されるだろう。
モドリッチは、マドリーの攻撃を多彩にする。その縦パスは崩しのスイッチとなり、クリスチアーノ・ロナウドやガレス・ベイル、そしてベンゼマのチャンスへと繋がる。そして中盤では、クロースをも復活させようとしている。
目立たず、静かにパスを繋ぐモドリッチ。彼こそが現在、マドリーで最も重要な選手なのだ。
文:パブロ・ポロ
翻訳:豊福晋
Pablo POLO|MARCA
パブロ・ポロ/マルカ
スペイン最大のスポーツ紙『マルカ』でレアル・マドリー番を務める敏腕記者。フランス語を操り、フランスやアフリカ系の選手とも親密な関係を築いている。アトレティコ番の経験もあり、首都の2大クラブに明るい。