かつてオランダ代表でレギュラーを張った名手グレゴリー・ファン・デル・ヴィールが衝撃の告白を行なった。

　現在32歳のファン・デル・ヴィールは、2007年に下部組織時代から在籍したアヤックスでプロキャリアをスタート。その後はパリ・サンジェルマンやフェネルバフチェなど４か国４チームでプレーした。

　オランダ代表としても46キャップを数えた名手だが、MLSのトロントFCに在籍していた昨年１月に突如として契約解除を発表。以来、どのチームにも所属することなく“浪人生活”を送ってきた。

　そんなファン・デル・ヴィールが先日、自身の公式サイトを更新し、「僕はパニック障害と不安神経症に悩まされてきたんだ」とピッチから離れた理由を綴った。

「プロサッカー選手として、常に自分の最高の側面を示すように求められ、そのことにプレッシャーを感じてきた。欲求不満や怒り、失望、悲しみといったものをすべて脇に置き、人生と選手としてのキャリアを続けてきたんだ。それで何かが蓄積されていった。

　トロントでは素晴らしい年を過ごしたよ。チームを愛し、人々や街も愛していた。そこであと５～６年は住んでいたいと思っていた。しかし、うまくやっていたはずの監督との話し合いの末で、チームを去らなければならなくなった。仕方がないものだけど、辛かった。あのときに僕は前に進み続けていたから、自分の感情に気がついていなかった。次に何が起こるかわからないという感覚が頂点に達していたんだ」
 

　トロントFCとの契約解除に新天地探しに奔走したファン・デル・ヴィールだったが、早く契約を結ばなければいけない焦燥感からプレッシャーに苛まれ、ついには「自分が何をすべきかがわからなくなった」という。

「フリーだったから新たな契約を探して、僕はロサンゼルスで過ごしていた。でも、どこからもポジティブな返信はもらえなかった。それで、ある日の朝、目覚めた時に自分が何をしたらいいのかが一切わからなくなったんだ。本当に自分を殺してしまったような感覚に陥った。それまで毎日トレーニングを欠かさずにいたけど、目標が分からなくなって日常生活も送れないぐらいの状態になって、ついにはパニック障害になった」

　それでも周囲のサポートを得て、病を克服し、現在はエールディビジのRKCワールワイクの練習に参加しているという32歳は、赤裸々な告白の最後をこう締めくくっている。

「こういうことは人間である以上、誰にでも起こり得ることなんだ。だからこそ、僕が経験したことや現状をみんなに共有したかった。自分にとって、楽な時間ではなかったけど、今はずっと良くなっていて、これからの未来にとても興奮しているよ」

　かつてオランイェ（オランダ代表の愛称）を支えた名SBが、再びピッチで躍動する日は、そう遠くなさそうだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部