力量差のある相手に対する戦い方としては、間違っていなかった。特にパスワークに秀でた広島との対戦であれば、むやみやたらと食い付かずにしっかりとブロックを構築し、「焦れずに、相手のクサビとかを引っかけて」（喜山康平）カウンターを狙うのは定石だ。

【J１ PHOTOハイライト】１stステージ・２節

　実際に後半の半ばを過ぎた頃――スピードと打開力に優れる前田直輝が途中出場したあたり――から鋭いカウンターがハマり、決定機を作ってみせた。68分には広島の中央突破を阻止した酒井隆介が岩上祐三に預けると、そのまま前に出て行き、岩上→オビナ→岩上とつないだボールを相手陣内で受けて逆サイドへ展開。これは相手にクリアされるも、セカンドボールを拾ったオビナが攻め上がっていた飯田真輝に落とし、最後は田中隼磨が惜しいシュートを放つ。
 
　このシーンの直前には、広島にボールを握られて自陣に押し込まれていたが、ボールを奪った後の切り替えの速さが際立ったシーンだ。また、酒井と同様、３バックの一角を務める飯田までもが“ボックス・トゥ・ボックス”よろしく、相手ゴール前に顔を出してゴールチャンスに絡んだのも特徴的だ。
 
　81分には広島のショートコーナーからのクロスを弾き返すと、こぼれ球を拾った岩上がドリブルで突進し、相手を引きつけてから左サイドを駆け上がった前田にパス。そしてタイミングを図りながら前田がセンタリングを上げ、走り込んでいた後藤圭太が打点の高いヘッドでゴールを狙う。カウンターを発動するきっかけとなるクリアをしたのが後藤であることを考えれば、「カウンターに（出て）行く力はうちにはある」という喜山の言葉もより説得力を増す。
 
　３-３の引き分けに終わった名古屋との開幕戦では、セットプレーから２ゴールを奪った。そしてこの広島戦では得点こそ生まれなかったが、鋭く、厚みのあるカウンターを披露してみせた。ベースとなるハードワークはここまでの２試合を通じていかんなく発揮されており、チームの３大ストロングポイント「セットプレー」「カウンター」「ハードワーク」は、J１の舞台でも十分に通用すると言っても過言ではない。