【横浜FC】なぜ2点差をひっくり返されたのか。“守ってカウンター”の是非を問う

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2020年10月11日

ポゼッション率で負けるのは“らしくない”

鹿島戦は前半に2点のリードを奪うも、後半に3失点。手痛い逆転負けを喫した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1第21節]鹿島3-2横浜FC/10月10日/カシマ

「まずは失点しないことで、カウンターを狙って3点目」(下平隆宏監督)

 敵地での鹿島戦、2点リードで迎えた後半の横浜FCのゲームプランだ。

 その戦略にケチをつけるつもりは一切ない。整然としたブロックで鹿島の反撃に対抗する。コレクティブな守備も特長のひとつだが、前半の戦いぶりに加えて、下平サッカーの完成度や戦術の浸透度を考えれば、少し消極的だったのではないかとも思う。

 指揮官は以前、「ずっと守備をしているだけのチームにはしたくない。一番はボールを握ること」と語っている。目指すスタイルは、ポゼッションを軸に試合の主導権を握ることだ。守備に関しても「ボールを持っていることが一番の守備だと思っている」とも。

 2分に手塚康平のFKを瀬沼優司が右足で押し込んで先制し、13分に今度は手塚のCKの流れから、松尾佑介が鮮やかなコントロールショットでネットを揺らす。その後も熟練されたビルドアップをベースに、横浜FCは主体的にゲームを進めていく。前半の内容はほぼパーフェクトと言っても過言ではなかった。

 国内随一のタイトルホルダーである鹿島を相手に、自分たちのサッカーで堂々と渡り合う。今の横浜FCには、その力が間違いなくある。だからこそ、後半は攻撃の強度を上げてくるはずの相手に対して“守ってカウンター”ではなく、むしろボールを握ることにもっとこだわり、能動的に仕掛けて、とどめを刺しに行ったほうがよかったのではないか。
 
 最終的なポゼッション率は、鹿島の64.7パーセントに対して、横浜FCは35.3パーセント。58分に1点を返されたあとも、下平監督は「上手く守れていた」と振り返る。実際はそうなのかもしれないが、ボールの握り合いで負けてしまうのは、やはり“らしくない”。

 88分、そしてアディショナルタイムに、いずれもセットプレーから失点。下平監督は「セットプレーは流れに関係なくゴールが生まれるもので、致し方ない部分はある」としたうえで、セットプレーに至るまでの流れには「課題はある」と認めてもいる。

 点を取りに行くにしても、ゴールを守るにしても、肝心なのはボールを握ること。そこをさらに強調して、より積極的な姿勢で相手を圧倒する。繰り返しになるが、下平サッカーはその可能性を十分に秘めていると思う。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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