攻撃重視の采配が奏功した「3-0」だった
サイズだけで言えば、誰がどう見ても明らかなミスマッチである。前半、柏に1-0でリードされた横浜は、後半開始からFWオナイウ阿道に代えてFW仲川輝人を、DF松原健に代えてMF扇原貴宏を投入。そして前半はボランチの喜田拓也が3バックの中央に移り、オルンガとマッチアップした。身長は前者が170センチ、後者が193センチで、その差は23センチ。体格で喜田が不利なのは明白だ。
結果的に後半のスコアは横浜が3-0として、合計スコアでは3-1と逆転勝利。喜田対オルンガで明白なミスマッチが起きた後半に、横浜が無失点に抑えて、鮮やかに3得点を奪った要因はなんだったのか。
結果的に後半のスコアは横浜が3-0として、合計スコアでは3-1と逆転勝利。喜田対オルンガで明白なミスマッチが起きた後半に、横浜が無失点に抑えて、鮮やかに3得点を奪った要因はなんだったのか。
柏としては、もちろんミスマッチを狙っていた。左ウイングバックの三丸拡は言う。
「特に僕のポジションからしたら、どんどんクロスを上げることを狙っていました。後ろからも、高さのミスマッチを突いていこうと話もしていた」
後半の立ち上がりこそ、柏がオルンガを起点にやや攻勢に出た。しかし「ただ入れるだけではなくて、そのこぼれ球を拾うなど、そういう動きが少なかった」と三丸が振り返るとおり、徐々にセカンドボールを拾えなくなる。
そうなれば横浜が俄然強い。こぼれ球を拾えば、すかさず扇原貴宏や喜田拓也らを中心にビルドアップ。ポゼッション率を高め、徐々に敵陣に押し込んだ。そしてラスト15分で怒涛の3ゴール。ミスマッチを気にするよりも、むしろボランチが本職の選手を最終ラインに置いたことのほうがポイントだったのかもしれない。
「1-0で勝っていて試合を進めるなかで、チームとして重心を後ろに置き過ぎた、(オルンガを)孤立させすぎた。パスの距離が長くなってしまったのもあると思います。そこも試合状況の勝ち負けにかかわらず、変えない部分は変えずにさらに追加点を取りに行く姿勢を全員で共有して、やっていくことが必要かと思います」(三丸)
柏としては三丸の弁が正しいが、横浜からすればアンジェ・ポステコグルー監督が「後半は前方向への強さをゴールに結びつけ、素晴らしいパフォーマンスだった」と胸を張ったとおり、攻撃重視の采配が奏功した「3-0」だった。