ローマの“王”が奇跡を起こした。

　現地時間９月24日に全国紙『Corriere dello Sport』をはじめとする複数のイタリア・メディアは、昏睡状態にあった19歳の少女が、元イタリア代表MFのフランチェスコ・トッティの音声メッセージを聴き、目を覚ましたという驚きの一報を報じた。

　まさに驚きのニュースだ。『Corriere dello Sport』によれば、ラツィオの女子チームの下部組織に所属していたイレーニア・マティッリさんは、友人とドライブに出かけた際に交通事故に遭い、昨年12月から昏睡状態にあったという。

　ローマの大ファンである両親の下で育ち、自身もロマニスタ（熱狂的なローマ・ファン）だったというイレーニアさんのために一肌脱いだのが、他でもないトッティだった。

　言わずと知れたローマの英雄は、関係者からイレーニアさんの状況を聞き、ボイスメッセージを両親に送ったのだ。

「なぁイレーニア、あきらめるなよ。君ならやれる。私たちは、みんな一緒にいるよ」

　短くも、想いの詰まったこのトッティの声が奇跡を起こす。なんと、両親がイレーニアさんにボイスメッセージを聞かせてからしばらくして、目を覚ましたのだという。

　事故から約９か月もの間、意識のなかった愛娘の回復に両親は感激しっぱなしだ。『Corriere dello Sport』によれば、興奮気味にトッティへの感謝を口にしている。

「私たちとイレーニアがずっとローマに抱いてきた情熱と愛情に、あなたの素晴らしい声が重なり、娘が目覚める助けとなった。戻ってきた彼女の微笑みはたまらなく、私たちはそれなしではいられません。いま、彼女の目は光と喜びに満ちています。親愛なるフランチェスコへ。あなたの声こそが娘が目覚める助けとなりました。私たちはあなたを心から待っているし、イレーニアもあなたを待っています」

　奇跡の回復を果たしたイレーニアさんが、“命の恩人”となったトッティと会える日は訪れるだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部