メッシの能力を最大限に輝かせるために…
ここにきてキケ・セティエンへの逆風がさらに強くなっている。1月の就任時に、昨日まで居を構えるリエンクレス村で牛と一緒に過ごしていたのが、一転して世界トップクラスの選手たちを指導できると喜びを語っていた。ただあまりにも正直すぎる発言は、大舞台における経験不足が招いた事態と見なされ、スター軍団を率いる器ではないと不安視する声も上がった。
さらに試合を重ねても、結果も内容もなかなか伴わず、おまけに指揮官と選手たちの間で軋轢が表面化。喜怒哀楽が激しいアシスタントコーチ、エデル・サラビアの存在は手助けになるどころかむしろ妨げとなった。
中でも苦心したのが、リオネル・メッシを筆頭とした重鎮選手たちの扱いだ。ジョゼップ・グアルディオラからヘラルド・マルティーノに至るまで、多種多様な監督の下でプレーしてきた百戦錬磨の彼らのハートを掴むのは決して容易いことではない。最近はキケ・セティエンがバルサの監督生活を満喫できていないかのような印象さえ与えていた。
一部には解任論も浮上していたが、そんななか臨んだラ・リーガ第34節のビジャレアル戦で、バルサは会心の内容で難敵を4-1で下した。瀬戸際に追い込まれていた指揮官にとってはまさに留飲を下げる白星となった。
そもそもセティエンは議論好きの人間だ。自らのチームはもちろん、相手チームに対してもあけすけに意見を口にする。選手たちの間ではそうした態度を快く思わない者も少なくなく、指揮官を擁護する声は日増しに少なくなっていた。
しかし、ビジャレアルに向かうバスの中で、セティエンはメッシの能力を最大限に輝かせるためのあるアイデアを温めていた。
ルイス・スアレスとグリエーズマンを2トップ的に配置し、その背後にトップ下として“10番”を据える変則的な4-4-2の採用だ。この戦術転換が、快勝の原動力になったのは間違いない。
もっともわずか1試合の結果に過ぎず、もちろんこれからどうなるかは分からない。ただ一つ言えるのは、キエ・セティエンはチームにメスを入れ、選手たちもその意図を汲み取ってプレーしたことだ。就任以来、ここまで時間がかかったことに対して批判する向きもあるだろう。おかげでラ・リーガ3連覇に赤信号が灯る状況になっている。今のままではビッグイヤーを奪還するのも困難だ。
ただセルタ戦の引き分け(第32節、2-2)の後に渦巻いた周囲からの批判にキケ・セティエンは屈しなかった。ビッグクラブを率いるだけの器を自らの采配で示したのだ。
さらに試合を重ねても、結果も内容もなかなか伴わず、おまけに指揮官と選手たちの間で軋轢が表面化。喜怒哀楽が激しいアシスタントコーチ、エデル・サラビアの存在は手助けになるどころかむしろ妨げとなった。
中でも苦心したのが、リオネル・メッシを筆頭とした重鎮選手たちの扱いだ。ジョゼップ・グアルディオラからヘラルド・マルティーノに至るまで、多種多様な監督の下でプレーしてきた百戦錬磨の彼らのハートを掴むのは決して容易いことではない。最近はキケ・セティエンがバルサの監督生活を満喫できていないかのような印象さえ与えていた。
一部には解任論も浮上していたが、そんななか臨んだラ・リーガ第34節のビジャレアル戦で、バルサは会心の内容で難敵を4-1で下した。瀬戸際に追い込まれていた指揮官にとってはまさに留飲を下げる白星となった。
そもそもセティエンは議論好きの人間だ。自らのチームはもちろん、相手チームに対してもあけすけに意見を口にする。選手たちの間ではそうした態度を快く思わない者も少なくなく、指揮官を擁護する声は日増しに少なくなっていた。
しかし、ビジャレアルに向かうバスの中で、セティエンはメッシの能力を最大限に輝かせるためのあるアイデアを温めていた。
ルイス・スアレスとグリエーズマンを2トップ的に配置し、その背後にトップ下として“10番”を据える変則的な4-4-2の採用だ。この戦術転換が、快勝の原動力になったのは間違いない。
もっともわずか1試合の結果に過ぎず、もちろんこれからどうなるかは分からない。ただ一つ言えるのは、キエ・セティエンはチームにメスを入れ、選手たちもその意図を汲み取ってプレーしたことだ。就任以来、ここまで時間がかかったことに対して批判する向きもあるだろう。おかげでラ・リーガ3連覇に赤信号が灯る状況になっている。今のままではビッグイヤーを奪還するのも困難だ。
ただセルタ戦の引き分け(第32節、2-2)の後に渦巻いた周囲からの批判にキケ・セティエンは屈しなかった。ビッグクラブを率いるだけの器を自らの采配で示したのだ。
キケ・セティエンがバルサに相応しい監督かどうかは意見が分かれるところだろう。采配や用兵についても議論の余地はある。しかし同時にベテラン連中が影響力を行使して現役を引退するまで長く居座ろうとしている今の状況を招いた責任は、彼にあるわけではない。
停滞しているチームにメスを入れ続けるために、キエ・セティエンはこれからも強力なリーダーシップを誇示し続けなければならない。
文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルセロナ番)
翻訳●下村正幸
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。
停滞しているチームにメスを入れ続けるために、キエ・セティエンはこれからも強力なリーダーシップを誇示し続けなければならない。
文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルセロナ番)
翻訳●下村正幸
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