川崎はなぜFC東京を圧倒できたのか。単に上手いだけではなく…

カテゴリ:Jリーグ

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2020年07月09日

秀逸だった脇坂のボールの受け方

登里(2番)の守備はかなり効いていた。勝利の立役者のひとりだろう。写真:サッカーダイジェスト

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[J1リーグ3節]FC東京0-4川崎/7月8日/味の素スタジアム

 昨季の味スタでの多摩川クラシコと同じような展開でFC東京に完勝。この日の川崎がなにより素晴らしかったのは、FC東京のプレスをいなす“選手個々のテクニックとセンス”だった。見た目以上に難しいプレーをいとも簡単にやってのけるあたりは、見事のひと言だった。

 例えば14分10秒あたりの脇坂のトラップからのドリブル、15分あたりの大島のトラップからのサイドチェンジ。1-0で迎えた23分の家長のボールキープ、28分のレアンドロ・ダミアンの落とし、44分の脇坂の流れるようなトラップ、ダイレクトでゴール前に折り返した山根のクロス、そのすべてがシンプルかつハイレベルなプレーだった。

 とりわけ印象的だったのが、脇坂のボールの受け方。攻撃のスピードを落とさず、流れるようなトラップで味方につなげる彼のファインプレーが、FC東京の守備陣を切り裂く大きな要因になったように映った。

 その脇坂の気の利いた振る舞いに代表されるように、FC東京の守備陣をずらすプレーを正確かつ効果的に実践したのが、この日の川崎だったのだ。
 
 また、川崎の“トライアングルを作る意識”も見逃せなかった。誰かがボールをキープすると、すっと何人かの味方が近づき、複数のパスコースを作る。これでボールホルダーに余裕が生まれ、一方でFC東京はボールの取り所を定めることができなかった印象も受けた。

 上手さが際立った川崎だが、それだけでFC東京を圧倒したわけではない。守備の局面で激しく、的確に相手を潰した左SBの登里、アンカーの田中、CBのジェジエウの貢献度も見逃せなかった。登里は特に前半の出来が素晴らしく、アグレッシブかつ力強い寄せでボールを奪ったディフェンスが目に焼き付いている。

 ただ、より凄みを見せつけたのが田中。ピンチになりそうな局面で必ずといっていいほど顔を出し、敵に余計なスペースを与えない。対人でも強さを発揮し、中盤に極上の落ち着きをもたらしていた。

 攻撃陣の活躍がピックアップされがちの川崎が、今回の多摩川クラシコで示したのは潰しの重要性。田中や登里の献身的なプレーがあったからこそ、FC東京を完膚なきまでに叩きのめすことができたのだろう。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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