【甲府】3人のFWを途中出場させた効果とは? 新潟との再開初戦で見えた“可能性”

カテゴリ:Jリーグ

サッカーダイジェスト編集部

2020年06月28日

ひとつの型にはまらない攻撃が武器となる可能性を秘めている

途中出場したハーフナー(44番)と金園(写真奥の青ユニホームを着た選手)。彼らが前線に並んだ後半途中からは、甲府はロングボール主体のカウンターに戦術をシフトした。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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「アタックは(ジュニオール・)バホス、ドゥドゥ、泉澤仁、松田力が特長を生かし、チームがやろうとしていることに反応してくれた。金園英学、ハーフナー・マイク、太田修介が途中から入り、(終了間際に)追い付いた。攻撃的な選手の評価は高い」

 ヴァンフォーレ甲府の伊藤彰監督は、撃ち合いの末に3-3の引き分けに持ち込んだ再開初戦の新潟戦をこう評価。新潟から奪った3得点は、前線に様々なタイプの選手が揃う今季の戦いが如実に表れた結果だった。

 1点目は左サイドを突破した泉澤のクロスにファーでドゥドゥが合わせ、2点目は相手のバックパスを奪ったJ・バホスのショートカウンターから再びドゥドゥがゴール。いずれの形も始動時からチームが築いてきた「狙いを持った得点」であり、伊藤監督もコンセプトの先に生まれたゴールに確かな手応えを感じている。

 ハーフナー、金園が前線に並んでロングスローから太田が奪った土壇場の同点弾に目が行きがちだが、選手の顔ぶれが変わることでできる多彩な戦いこそが過密日程を戦い抜くうえでは重要な意味を持つ。

 指揮官は「(選手を代えることで)サッカーが変わる。積み上げていることからまったく変えるとやっていることが悪いんじゃないかと思われるかもしれないが、それは違う」と強調する。ハーフナー、金園を前線に配してゴールをこじ開けることもできれば、サイド攻撃でゴールに迫ることもできる。カウンターで鋭く相手ゴールにも迫れる。

 今季は交代枠が5枠あり、新潟戦ではFW登録が4人(ハーフナー、太田、金園、ラファエル)ベンチに入ったことからも分かるように、ピッチに立つ選手の特長でチームの戦い方は柔軟に変化する。メンバーを固定して戦うことが困難になることが予想されるシーズンだからこそ、ひとつの型にはまらない攻撃が武器となる可能性を秘めている。

 3失点を喫した守備面は改善の余地ありだが、今季からしっかりとパスをつないでポゼッションを高める戦いに移行を図るなかでは、自陣でボールを奪われた失点はどうしても生まれるエラーでもある。

 1失点目はドゥドゥがカウンターに出ようとしてドリブルが長くなり、3失点目は自陣からパスをつないだ際のボールロストから。勝負にこだわるうえで失点を許容してはいけないが、チャレンジする姿勢を失ってはいけない。

 伊藤監督は選手が戻る位置やクロスに対するポジショニングなどコンセプトの再確認も必要としながら、「ボールを取りにいこうという意思が強いらこそやられている部分もある。守って、守ってカウンターというチームよりも良いメンタルだと思っている」と語る。堅守を武器としていたこれまでに比べると脆さが見えてしまうが、チームが攻守にアグレッシブな戦いへと進化するための通過儀礼の失点とも言える。

 若手に切り替えを図る今季は、試合を重ねるごとに成長できる余地も大きい。課題も出るなかで、新潟戦で勝点1に終わったことは決してネガティブに捉える必要はない。大切なのは再開初戦を基準点に着実に上昇曲線を描けるかどうかだ。

構成●サッカーダイジェスト編集部
 
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