疑問を抱えるバイエルン 「ミニ・クライシス」は何をもたらすのか【バイエルン番記者】

カテゴリ:メガクラブ

パトリック・シュトラッサー

2015年02月07日

後半戦最初の2試合でわずか勝点1。

凋落の予兆か、さらなる躍進へのきっかけか。この躓きはバイエルンに何をもたらすのか。 (C) Getty Images

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 バイエルンはいま、「ミニ・クライシス」、ちょっとした危機的状況にある。
 
 後半戦最初の2試合で獲得した勝点はたったの1。1-4で敗れたヴォルフスブルク戦(18節)に続いたのは、シャルケ(19節)との1-1の引き分けだった。
 
 選手たちの発言は、にわかに切実さを帯びてきた。
「シュツットガルト戦(20節)は勝利が必要だ」
 バスティアン・シュバインシュタイガーがそう意気込めば、怪我で欠場中の主将フィリップ・ラームは、
「さあ、もう一度3ポイントを」
 と語る。
 3試合連続の未勝利となれば、3年目になるペップ・グアルディオラ指揮下で初めて事態、まさかの停滞だ。
 
 シャルケ戦のドローは、上々の結果だと見る向きもある。ジェローム・ボアテングが開始17分にレッドカードを受けて退場。70分以上を10人で戦いながら、チャンピオンズ・リーグの16強に勝ち残っているシャルケから勝点をもぎ取ったことを評価する楽観論だ。
 
 警鐘を鳴らすのはグアルディオラだ。
「ブンデスリーガは簡単ではない。それが改めて分かってもらえただろう。人々は簡単だと思っている。しかし簡単ではないんだ」
 
 それにしても、バイエルンはどうしたというのか。何が問題なのだろう。
 
 怪我人の多さは相変わらずだ。ラーム、チアゴ・アルカンタラ、ハビ・マルティネスが名を連ねる故障者リストに、フランク・リベリとラフィーニャが加わった。ボアテングは前述のレッドカードの処分で3試合の出場停止となった。
 
 17試合で14勝(3分け)を挙げた前半戦のような意気込みや熱意が感じられないのは、正念場となる3月~4月に向けて力を温存しているからなのか。それとも、これまで全てがイージーすぎたため、気が緩んだのか。
 
 カタールでの冬季合宿の雰囲気は、どこか弛緩していた。カタールリーグ選抜(4-1)、サウジアラビアのアル・ヒラル(4-1)、そして2部のボーフム(5-1)と対戦したテストマッチが良くなかったのか。彼らはあまりに歯応えがなく、それで選手はリーグ再開に向けて高めるべき緊張感、モチベーションを高められなかったのか。
 
 選手個々の問題か。中盤でコンビを組むシュバインシュタイガーとシャビ・アロンソは、やはりまだ連係が取れていない。ロベルト・レバンドフスキ、トーマス・ミュラー、ダンチは不調だ。ワールドカップの英雄マリオ・ゲッツェは、なかなかベンチ生活から抜け出せない。
 
 2015年のバイエルンが抱えるのは疑問の数々だ。この躓きからズルズルと後退してしまうのか。それとも、さらなる高みへの「跳躍台」とするのか。
 
「ミニ・クライシス」は、バイエルンに何をもたらすのか――。
 
【記者】
Patrick STRASSER|Abendzeitung
パトリック・シュトラッサー/アーベントツァイトゥング
1975年ミュンヘン生まれ。10歳の時からバイエルンのホームゲームに通っていた筋金入りで、1998年にアーベントツァイトゥングの記者になり、2003年からバイエルンの番記者を務める。2010年に上梓した『ヘーネス、ここにあり!』、2012年の『まるで違う人間のように』(シャルケの元マネジャー、ルディ・アッサウアーの自伝)がともにベストセラーに。
【翻訳】
円賀貴子
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