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バロンドールはロナウドに――ノイアーとバイエルンは「落選」をどう受け止めたのか 【バイエルン番記者】

カテゴリ:メガクラブ

パトリック・シュトラッサー

2015年01月21日

「楽しんでくるように」とペップはノイアーに声を。

最終ノミネートに残った左からノイアー、メッシ、ロナウドの3人。バロンドール受賞は逃したが、ノイアーに落胆はなかった。 (C) Getty Images

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 バイエルンがウインターブレイク中に合宿を行なったカタールのドーハとスイスのチューリヒは、飛行機で往復13時間かかる。
 
 そのチューリヒへと向かうマヌエル・ノイアーを見送りながら、バイエルンの首脳陣は予期していた。この絶対的守護神が、FIFAバロンドールに選ばれることはないだろうと。チューリヒで催される授賞式に出席するノイアーに、ジョゼップ・グアルディオラ監督はこう声を掛けたと言う。
 
「楽しんでくるようにと、マニュ(ノイアーの愛称)にはそう伝えたよ。最終候補の3人に選ばれたそれだけで素晴らしいことじゃないかとね」
 
 実際、ノイアーは満足していた。栄冠に輝いたクリスチアーノ・ロナウドを笑顔で祝福した「世界最高のGK」は、授賞式を振り返って語った。
「素晴らしい夜だった。最後の3人に選ばれたことを誇りに思う」
 
 このノイアーの感想は、1年前のフランク・リベリのそれとほとんど同じだった。リベリも同じく最終ノミネートの3人に選ばれながら、授賞式ではリオネル・メッシの引き立て役に終わっている。ただ、受賞を逃したリベリは、満足などしていなかった。
 
「(この賞が)どんなものか、みんな知っている。おかしいよ。2014年、チューリヒの会場の雰囲気を見て、僕はすぐに妻に言ったんだ。ここで選ばれるのは僕じゃないってね」
 
 この授賞式を境にリベリのパフォーマンスは低下し、不調はしばらく続いた。ノイアーもそうなってしまうのだろうか。心配は無用だと語るのは、スポーツディレクターのマティアス・ザマーだ。
 
「フランク(リベリ)はいささか感情的な人間だから。マヌエルはなにがあっても、それとうまく付き合えるタイプだ」
 ザマーは続ける。
「マヌエルを慰める必要はない。私はなにも心配していない。世界チャンピオンであり、世界一のキーパーだ。これよりももっと大きな困難を乗り越えてきた。例えば、ここにやって来た時も、最初からすべてが順風満帆だったわけではないだろう」
 
 11年の夏だ。シャルケから加入したノイアーを、バイエルンの一部のファンは歓迎しなかった。同時にシャルケの一部サポーターは、クラブを見捨てたノイアーを呪った。こうしたネガティブな外野の声とも、移籍当初は戦わなければならなかったのだ。
 
 ノイアー自身はバロンドール受賞を逃した事実を冷静に受け止めているが、落胆を隠さず、疑問を口にするバイエルン関係者もいる。1974年のワールドカップ優勝メンバーで、現在はバイエルンのブランド・アンバサダーを務めるパウル・ブライトナーは語る。
 
「我々はワールドカップに何を期待するだろうか? サッカーの方向性を示す大会であるはずだ。マニエル・ノイアーはブラジルの地で、その方向性を示した。GKというポジションが将来的にどう発展していくか、その方向性をだ」
 だから、とブライトナーは言葉を継ぐ。
「私に言わせれば、このバロンドールの結果は間違っている。我々にとってはマヌエルが最高の選手だ」
 
 ブライトナーを補足するなら、こうなるだろう。ノイアーは世界最高のユニバーサル(万能的)なプレーヤーであり、GKというポジションの従来の概念を覆す革新的な存在である、と。
 
 ノイアーはすでに次の目標に向かって闘志を新たにしている。
「(今シーズンの)チャンピオンズ・リーグのファイナルの舞台はベルリンだ。僕たちはベルリンでトロフィーを掲げる。それが目標だ」
 
「僕」ではなく、「僕たち」と語るノイアー。どうだろう、GKでありながら彼はロナウドやメッシよりも「チームプレーヤー」ではないだろうか。
 
【記者】
Patrick STRASSER|Abendzeitung
パトリック・シュトラッサー/アーベントツァイトゥング
1975年ミュンヘン生まれ。10歳の時からバイエルンのホームゲームに通っていた筋金入りで、1998年にアーベントツァイトゥングの記者になり、2003年からバイエルンの番記者を務める。2010年に上梓した『ヘーネス、ここにあり!』、2012年の『まるで違う人間のように』(シャルケの元マネジャー、ルディ・アッサウアーの自伝)がともにベストセラーに。
【翻訳】
円賀貴子
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