【日本代表コラム】新監督に求めたい新戦力を大胆に抜擢する度量 最適任はクルピか

カテゴリ:日本代表

加部 究

2015年02月05日

メディアの“急務”に流されず、妥協しない人選を。

アギーレ監督は、昌子や植田など若い世代の抜擢も少しずつ進めていただけに、協会としても今回の事態は痛恨事だったはず。(C) SOCCER DIGEST

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 2010年南アフリカ・ワールドカップは、日本サッカー界の大きな転換点となった。
 
 協会内では岡田武史監督が本大会で採用した守備的なスタイルを今後の指針にするわけにはいかないとの反省があったが、国際的にはベスト16進出という結果がインパクトを残し、その後日本の選手たちの欧州進出は加速した。
 
 そして当時の原博実技術委員長(現専務理事)は「日本代表の中心選手が欧州のビッグクラブでプレーをしている以上、そのチームを率いる監督もそれ以上の経験の持ち主であるべきだ」と判断するのだ。岡田氏の後任監督の候補者リストはすべて欧州、南米出身者で埋められ、実際にアルベルト・ザッケローニ、ハビエル・アギーレと外国人監督が続いた。ザッケローニ監督には、ユベントス、ミラン、インテルとイタリアの3大クラブを率いた経験があった。しかし代表監督の経験がなく、その懸念が現実となった部分もある。
 
 その点アギーレ監督は、原専務理事がザッケローニより先にコンタクトを取って来た本命で、メキシコ代表を率いて二度のワールドカップを戦い、アトレティコ・マドリー、サラゴサなどでリーガ・エスパニョーラでの実績も備えていた。日本協会の大仁邦弥会長は、八百長疑惑の告発が受理されなければ続投させていたと語ったが、確かに代表のチーム作りに関しては熟練し、納得できる部分もあった。結果が求められるアジアカップでは、ほとんどブラジル・ワールドカップのメンバーに託すことになったが、才能を見極め昌子源、植田直通らを連れて行くなど、少しずつ将来への布石も打っていただけに、協会としては痛恨の出来事だったはずだ。
 
 原専務理事は、技術委員長の役割について「常に“もしも”のケースに備えて準備をしておかなければならない」と語っているので、すでに候補者リストは作成され、次期監督の招聘に向けて動き出している可能性は高い。
 
 ただしメディアは、それを急務だと騒ぎたてるが、大仁会長の言う通り「間に合わせの人事」だけは絶対に避けるべきだ。おそらく技術委員会が新監督に求めるハードルは非常に高い。それなら妥協せず、シーズン終了後を見据えた交渉を進めた方が確実に実りは多いはずだ。
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