嫌われ役も辞さない覚悟で――勝利に執着し「言う時は言う」奈良竜樹は実に鹿島向きだ

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2020年01月09日

「タイトルの数を増やす。その助けになりたい」

前所属の川崎ではリーグ連覇に大きく貢献した奈良。勝者のメンタリティも持ち合わせる頼もしい新戦力だ。写真:徳原隆元

画像を見る

 ランニングでは、選手たちの輪から離れて、ひとりで黙々と走る姿があった。

 1月8日の鹿島アントラーズの始動日、今オフに川崎フロンターレから完全移籍で加入した奈良竜樹が、新天地でのスタートを切った。

「しゃべるのは得意じゃないから」と、ひとりで走っていた理由を明かす。オフ・ザ・ピッチも「静かにしているタイプ」だと言う。ただし、プレーする時は“饒舌”になる。負けず嫌いな性格も手伝って、チームが勝つためなら「言う時は言うし、(意見を)ぶつけ合う時には、ぶつけ合わなければいけないと思う」というスタンスだ。

 すべては勝利のために、このクラブでタイトルを掴むために。

「勝つためには、なんでもするじゃないけど、自分が嫌われ役になろうと、自分が犠牲になろうと、チームが勝つっていうところに常にフォーカスしてやってきたつもりなんで」

 内田篤人は以前、鹿島の新たなリーダーの台頭を期待して、三竿健斗の名前を口にしたことがある。理由は、「チームメイトにちゃんとモノを言えるから」だ。

 単なるいがみ合いとは違う。奈良も“プロフェッショナルな衝突”を恐れずにできる選手のようだ。もっとも、鹿島のクラブカラーを奈良はすでに理解しているようで、「そこはもう、このクラブでは日常だと思うので。そこに入っていけるように、そのテンションについていけるように、自分もしっかりやっていきたい」と表情を引き締める。
 
 鹿島向きの選手だ、と投げかければ、「うーん、どうなんですかね」としばし思案した後、こう続けた。

「(フットボールダイレクターの鈴木)満さんもそうだし、コーチ陣も、『勝つ』とか『勝利』というのがワードとして出てくる。そこは僕にも通じるというか、近いものがある。鹿島向きとか、鹿島に似合うっていうのは、これからプレーで証明していかなければいけないと思うので。そこはこれからの話」

 本人はそう語るが、少なくとも、勝利にとことんこだわり、タイトルを義務付けられたクラブに相応しい人材であり、昨季は無冠に終わったクラブに必要な選手のように思える。

「タイトルの数を増やす。その助けになりたい、その力になりたいという想いが、この中に入って改めて感じた」

 2年連続での無冠は許されない。タイトル奪還に燃える鹿島で、奈良がその炎をさらに大きくする原動力となる。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

【鹿島始動 PHOTO】タイトル奪還に向けて始動
【関連記事】
鹿島移籍も「満足している場合じゃない」。新戦力・永戸勝也はレギュラー定着に意欲
「休む事への意識が欠けている」鹿島のオフはたった6日間! 柴崎岳がJリーグの”休まな過ぎ”問題に言及、サポーターからも続々と賛同の声が…
【鹿島】2019年シーズン、無冠。土居聖真は言った。「“常勝鹿島”と言われるのも終わり」
【天皇杯決勝】どうした鹿島? 神戸戦の完敗を受けて内田が示した“強者の定義”
【天皇杯決勝】西大伍が忘れなかった古巣へのリスペクト。「鹿島でいろんな経験をさせてもらったから」

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ