欧州プロクラブの慢性的な赤字体質が導入の背景に。
ファイナンシャル・フェアプレー(FFP)とは、欧州カップ戦(チャンピオンズ・リーグ=CL、ヨーロッパリーグ=EL)に参加するクラブに赤字経営(=支出超過)を禁じることで、経営の健全化・安定化を義務づけ、財政破綻を未然に予防するための仕組みだ。
UEFAがクラブの経営収支を審査し、支出が収入を大きく上回っているクラブには、罰金、補強予算制限、CL、ELへの選手登録制限や出場資格剥奪などのペナルティーが課される。
【導入の経緯】
FFP制度は、2009年9月のUEFA理事会で導入が決定され、2011-12シーズンから正式にスタートした。
導入の背景にあったのは、ヨーロッパのプロサッカー界全体に蔓延している、慢性的な赤字体質。目先の勝利を追い求めるために、クラブの収入を上回る資金をチームの戦力強化(移籍金、年俸)に注ぎ込み、赤字や借金を積み重ねて破産に至るという悪循環は、どの国でも頻繁に起こっている。
2000年代初頭のフィオレンティーナやナポリから、07年リーマンショック直後のポーツマスやウェストハム、10年のマジョルカ、12年のレンジャーズまで、こうした経営破綻に共通するのは、当初はオーナーが私財を投じて赤字を穴埋めするが、その資金が尽きたところで一気に破産への道を歩み始めたところ。
UEFAがFFPにおいて「収入を上回る支出」を禁じているだけでなく、オーナーによる赤字の穴埋めそのものを認めていないのも、そうした事態を未然に避けるためだ。
FFPの最終的な目的は、UEFA主催のコンペティションに参加するすべてのクラブから赤字(=支出超過)をなくし、ブレイクイーブン(収支トントン)を最低ラインとする健全経営を定着させることにある。
しかし、慢性的な赤字経営体質が根付いているクラブの経営健全化は、一朝一夕で行なえるものではない。そこで当初は、赤字にある程度の許容範囲を設定し、それを段階的に小さくしていくことで、無理のない形で経営体質を改善していくというプロセスが設定された。
【FFPの仕組み】
FFPにおいて収支チェックの対象となるのは、クラブが毎年発表している決算報告書。審査の対象となる「収入」と「支出」の項目は、大きく次のようになっている。
[収入]入場料、TV放映権料、広告・スポンサー料、マーケティング収入、選手の売却益。
[支出]人件費、営業費用、選手獲得費、借入金の返済。
※スタジアムやトレーニング施設などへの長期的な投資による負債、育成部門の費用は支出に含めずに控除される。また選手獲得費用が分割払いとなっている場合は、その年に支払う分だけが支出として計上される
審査のプロセスを簡単にまとめると、次のようになる。
1)9月末まで:UEFAが毎年9月末を期限に、クラブの「過去3シーズン」に渡る経営収支をチェック。
2)10月末まで:チェックの結果、赤字=支出超過が限度額を超えている場合には、クラブに経営内容のさらなる開示、そして収支改善計画の提示を要求する。
3)翌年4月まで:クラブとの間で協議を行ない、収支改善の目標を設定、同時にペナルティーの内容を決定する。ペナルティーは、UEFAによる一方的な処分という形ではなく、UEFAとの合意に基づく「和解協定」をクラブが自発的に受け入れるという形を取る。
4)翌年5月:和解協定の内容を公表。7月からスタートする翌シーズンのUEFAコンペティションにおいて適用される。
FFPに基づく審査がスタートしたのは13-14シーズンから。この第1回審査のみ、対象は過去2シーズン(11-12、12-13)に限られており、2年間トータルで4500万ユーロ(約63億円)までの支出超過(赤字)が限度額とされた。
今シーズンの第2回審査は、対象が過去3シーズン(11-12、12-13、13-14)となり、支出超過の限度額3年間トータルで4500万ユーロ。来シーズンの第3回審査から17-18シーズンの第5回審査までは、限度額が3000万ユーロ(約42億円)まで縮小される。
UEFAがクラブの経営収支を審査し、支出が収入を大きく上回っているクラブには、罰金、補強予算制限、CL、ELへの選手登録制限や出場資格剥奪などのペナルティーが課される。
【導入の経緯】
FFP制度は、2009年9月のUEFA理事会で導入が決定され、2011-12シーズンから正式にスタートした。
導入の背景にあったのは、ヨーロッパのプロサッカー界全体に蔓延している、慢性的な赤字体質。目先の勝利を追い求めるために、クラブの収入を上回る資金をチームの戦力強化(移籍金、年俸)に注ぎ込み、赤字や借金を積み重ねて破産に至るという悪循環は、どの国でも頻繁に起こっている。
2000年代初頭のフィオレンティーナやナポリから、07年リーマンショック直後のポーツマスやウェストハム、10年のマジョルカ、12年のレンジャーズまで、こうした経営破綻に共通するのは、当初はオーナーが私財を投じて赤字を穴埋めするが、その資金が尽きたところで一気に破産への道を歩み始めたところ。
UEFAがFFPにおいて「収入を上回る支出」を禁じているだけでなく、オーナーによる赤字の穴埋めそのものを認めていないのも、そうした事態を未然に避けるためだ。
FFPの最終的な目的は、UEFA主催のコンペティションに参加するすべてのクラブから赤字(=支出超過)をなくし、ブレイクイーブン(収支トントン)を最低ラインとする健全経営を定着させることにある。
しかし、慢性的な赤字経営体質が根付いているクラブの経営健全化は、一朝一夕で行なえるものではない。そこで当初は、赤字にある程度の許容範囲を設定し、それを段階的に小さくしていくことで、無理のない形で経営体質を改善していくというプロセスが設定された。
【FFPの仕組み】
FFPにおいて収支チェックの対象となるのは、クラブが毎年発表している決算報告書。審査の対象となる「収入」と「支出」の項目は、大きく次のようになっている。
[収入]入場料、TV放映権料、広告・スポンサー料、マーケティング収入、選手の売却益。
[支出]人件費、営業費用、選手獲得費、借入金の返済。
※スタジアムやトレーニング施設などへの長期的な投資による負債、育成部門の費用は支出に含めずに控除される。また選手獲得費用が分割払いとなっている場合は、その年に支払う分だけが支出として計上される
審査のプロセスを簡単にまとめると、次のようになる。
1)9月末まで:UEFAが毎年9月末を期限に、クラブの「過去3シーズン」に渡る経営収支をチェック。
2)10月末まで:チェックの結果、赤字=支出超過が限度額を超えている場合には、クラブに経営内容のさらなる開示、そして収支改善計画の提示を要求する。
3)翌年4月まで:クラブとの間で協議を行ない、収支改善の目標を設定、同時にペナルティーの内容を決定する。ペナルティーは、UEFAによる一方的な処分という形ではなく、UEFAとの合意に基づく「和解協定」をクラブが自発的に受け入れるという形を取る。
4)翌年5月:和解協定の内容を公表。7月からスタートする翌シーズンのUEFAコンペティションにおいて適用される。
FFPに基づく審査がスタートしたのは13-14シーズンから。この第1回審査のみ、対象は過去2シーズン(11-12、12-13)に限られており、2年間トータルで4500万ユーロ(約63億円)までの支出超過(赤字)が限度額とされた。
今シーズンの第2回審査は、対象が過去3シーズン(11-12、12-13、13-14)となり、支出超過の限度額3年間トータルで4500万ユーロ。来シーズンの第3回審査から17-18シーズンの第5回審査までは、限度額が3000万ユーロ(約42億円)まで縮小される。