名門・市立船橋の元指揮官が新天地のジェフ千葉U-18で感じた高体連とJユースの違いとは?

カテゴリ:高校・ユース・その他

松尾祐希

2019年12月26日

クラブの悲願だった3年ぶりのプリンスリーグ入りは叶わず。

5月から千葉U-18の指揮を執る朝岡監督。市立船橋では数々のタイトルを獲得した。写真:松尾祐希

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 終了のホイッスルが鳴ると、苦虫を潰したような表情で悔しさを露わにした。スコアは0-3。文字通りの完敗だった。勝てば昇格、敗れれば千葉県リーグ1部に残留――。その大一番に敗れ、朝岡隆蔵監督の新たな挑戦となった1年目のシーズンが終わりを告げた。

 12月25日に行なわれたプリンスリーグ関東参入戦の2回戦。ジェフユナイテッド市原・千葉U-18は序盤から昌平に押され、前半終了間際に失点。後半に巻き返しを図ったが、開始早々にセットプレーから加点され、最終盤にもPKを決められて勝負が決した。

「(リーグ戦ではないので)最後に勝たないといけないゲーム。選手の闘志に火を付けられなかった。いろんなことがあるけど、戦うエネルギーを残念ながら僕は感じなかった。びびっているし、尻込みしているし、『なんだよ、ここでそれかよ』と少し感じてしまった。これは自分の責任」

 指揮官は悲願である3年ぶりの昇格は勝ち取れず、敗戦のすべてを受け入れた。

 朝岡監督にとって、今季は変化の時だった。今年3月末。朝岡監督は市立船橋高を離れた。この決断に多くの人が驚いたのは記憶に新しい。それは指揮官として、市立船橋で多くの実績を残してきたからだ。

 市立船橋ではコーチから監督に昇格した1年目に快挙を成し遂げる。和泉竜司(現・名古屋)らを擁し、2011年度の全国高校サッカー選手権で優勝を飾った。以降も“市船らしい堅守”を重んじながら、攻撃的なサッカーで一時代を築いた。13年と16年には夏のインターハイを制覇。また、適性を見ながら、選手を育てる力に長けており、勝負にこだわりながらも将来を見据えた指導に定評があった。多くの選手をJリーグの舞台に送り込み、杉岡大暉(現湘南)、原輝綺(現鳥栖)、高宇洋(現山口)らがU-22日本代表でも活躍中している。

 高校サッカーで名を挙げた朝岡隆蔵監督は、母校の市立船橋を離れるタイミングで大きな決断を下す。教員の職を辞し、プロの指導者として千葉U-18の監督に就任した。プレミアリーグEASTで戦う市立船橋から千葉県リーグ1部の千葉U-18へ。阿部勇樹(現浦和)、佐藤勇人、佐藤寿人(ともに現千葉)らを輩出した育成組織の再建を託されたのだ。

 朝岡監督は「市立船橋でやってきたこと以外のことを学びたい」と覚悟を決め、そうした幾つかの違いと向き合いながら、新たな場所で挑戦を始めた。しかし、豊富な経験値を持つ指揮官であっても、チームを作る作業は困難を極めたという。
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