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「凶悪事件でも起こったように…」ペップとシメオネ、ふたりの英雄を追い込む“行き過ぎた期待”【現地コラム】

カテゴリ:連載・コラム

エル・パイス紙

2019年12月21日

ヨーロッパのエリートクラブの仲間入りを

チームを欧州の強豪に押し上げたグアルディオラ(左)とシメオネ。その功労者も厳しい立場に立たされている。(C) Getty Images

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 ディエゴ・シメオネとジョゼップ・グアルディオラのフットボール観は対極に位置する。両者のそれは陰と陽、光と影のような関係にある。

 アトレティコ・マドリーには“チョロ”の、マンチェスター・シティには“ペップ”の刻印がそれぞれ色濃く焼き付けられている。そしてふたりは、その独自の手法を追求することでチームの競争力を高め、輝かしい戦績を残してきた。しかし両者はいま、膨らみすぎた周囲の期待値が大きな反動を呼び起こすという現代社会が抱えるパラドックスに直面している。

 マルセロ・ビエルサ(現リーズ・ユナイテッド監督)は監督という仕事の理不尽さについてこう話していた。

「連勝が続けば、わざわざこちら側から理由を説明する必要はない。周囲の人間がそのうち適当な理論をでっち上げてくれるからだ。逆に連敗が続けば、凶悪事件でも起こったかのような戦犯探しが始まる」
 
 忘れてはならないのは、アトレティコ、シティとも両監督が就任するまでは大なり小なり低迷を続け、クラブとしての方向性を見失いかけていたことだ。それがいまや名実ともにヨーロッパのエリートクラブの仲間入りを果たした。

 しかしその急激な取り巻く環境の変化が“行き過ぎた期待”となって跳ね返り、ふたりを厳しい立場に追い込む結果になっている。

 こうした一連の現象は欲望に際限がない人間社会を如実に映し出している。ただひとつフットボールが特殊なのは、奇跡を起こした英雄にまで人々は嬉々として責任を追及する点である。

文●ホルヘ・バルダーノ
翻訳:下村正幸

【著者プロフィール】
ホルヘ・バルダーノ/1955年10月4日、アルゼンチンのロス・パレハス生まれ。現役時代はストライカーとして活躍し、73年にニューウェルズでプロデビューを飾ると、75年にアラベスへ移籍。79~84年までプレーしたサラゴサでの活躍が認められ、84年にはレアル・マドリーへ入団。87年に現役を引退するまでプレーし、ラ・リーガ制覇とUEFAカップ優勝を2度ずつ成し遂げた。75年にデビューを飾ったアルゼンチン代表では、2度のW杯(82年と86年)に出場し、86年のメキシコ大会では優勝に貢献。現役引退後は、テネリフェ、マドリー、バレンシアの監督を歴任。その後はマドリーのSDや副会長を務めた。現在は、『エル・パイス』紙でコラムを執筆しているほか、解説者としても人気を博している。

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙に掲載されたバルダーノ氏のコラムを翻訳配信しています。

 
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