信頼されていた指揮官が前触れもなく解任された時も同じ
サッカー選手は、何を求めるのか?
それは一言で言えば、公正さ、だろう。
「自分の実力を、正しく評価して欲しい」
「自分の適性を正しく見極め、然るべきポジションを与えて欲しい」
「正しい(給料の)査定をし、(チームメイトと区別なく)同じように労を労って欲しい」
もし不公平が生じた場合、選手の心の動きは鈍くなる。不信感につながる。必然的に、力が出せなくなるのだ。
自分に対する不条理は許せないものだが、それだけではない。チーム内の人間、誰に対しても公平であるべき、という意識を選手は持っている。例えば、一人の選手が理不尽にクビを切られたとき、その不公平感はチーム全体に伝播する。即座に害を及ぼさなくとも、それは時限装置のように、きっかけ一つで暴発するだろう。それは、信頼されていた指揮官が前触れもなく解任された時も同じだ。
選手は純粋で、とことん公平さを求める。
逆説すれば、公平さを保つことができれば、集団は機能的に動ける。たとえ負けが込んだとしても、どうにか耐えられる。耐え凌ぐ中で、活路を見つけられる可能性もあるだろう。
「バスクでは、集団で戦う精神が求められる。アスレティック・ビルバオは純血主義(バスク人選手のみのチーム)で、戦力的には限られている。でも、むしろ少数精鋭であることで、お互いが等しく全力を尽くし、勝負に向き合えるのだ」
アスレティックの名将、ガイスカ・ガリターノは語っている。2018-19シーズン、前半戦で降格圏に沈んでいたチームを率いた後、欧州カップ出場権を争うまで、順位を引き上げた。ガリターノは公平にチャンスを与え、選手の競争力を高め、ポテンシャルを引き出したのだ。
それは一言で言えば、公正さ、だろう。
「自分の実力を、正しく評価して欲しい」
「自分の適性を正しく見極め、然るべきポジションを与えて欲しい」
「正しい(給料の)査定をし、(チームメイトと区別なく)同じように労を労って欲しい」
もし不公平が生じた場合、選手の心の動きは鈍くなる。不信感につながる。必然的に、力が出せなくなるのだ。
自分に対する不条理は許せないものだが、それだけではない。チーム内の人間、誰に対しても公平であるべき、という意識を選手は持っている。例えば、一人の選手が理不尽にクビを切られたとき、その不公平感はチーム全体に伝播する。即座に害を及ぼさなくとも、それは時限装置のように、きっかけ一つで暴発するだろう。それは、信頼されていた指揮官が前触れもなく解任された時も同じだ。
選手は純粋で、とことん公平さを求める。
逆説すれば、公平さを保つことができれば、集団は機能的に動ける。たとえ負けが込んだとしても、どうにか耐えられる。耐え凌ぐ中で、活路を見つけられる可能性もあるだろう。
「バスクでは、集団で戦う精神が求められる。アスレティック・ビルバオは純血主義(バスク人選手のみのチーム)で、戦力的には限られている。でも、むしろ少数精鋭であることで、お互いが等しく全力を尽くし、勝負に向き合えるのだ」
アスレティックの名将、ガイスカ・ガリターノは語っている。2018-19シーズン、前半戦で降格圏に沈んでいたチームを率いた後、欧州カップ出場権を争うまで、順位を引き上げた。ガリターノは公平にチャンスを与え、選手の競争力を高め、ポテンシャルを引き出したのだ。
つまり、選手の扱いで公平さを保っているところは、歴史の中、多くのタイトルを勝ち取っている。数人の有力選手次第で、1シーズンは寄せ付けない強さを見せる場合があるだろう。しかしそうした強さは、選手が替わってしまえば失われる。
チームが組織として、選手の力量を正しく見抜き、査定し、励ますことができるか。
そこに、常勝のクラブとしての一歩がある。
あらゆる不公平が、綻びになってしまうだけに、それは簡単ではない。
例えば、監督として「プロの世界は甘くない。結果がすべて。死ぬ気で戦え」と命令を下していた監督が、自らが成績不振で職を解かれた後も、クラブにスタッフとしてのうのうと留まる、という厚顔無恥の姿を見せた途端、選手は失望する。
「自分だけが甘い蜜を吸っている」
純粋な選手は、不信感を拭えない。
チームとしても、求心力を失う。
「公平性」
それは保つのが難しいからこそ、勝者と敗者が別れるのだ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。
チームが組織として、選手の力量を正しく見抜き、査定し、励ますことができるか。
そこに、常勝のクラブとしての一歩がある。
あらゆる不公平が、綻びになってしまうだけに、それは簡単ではない。
例えば、監督として「プロの世界は甘くない。結果がすべて。死ぬ気で戦え」と命令を下していた監督が、自らが成績不振で職を解かれた後も、クラブにスタッフとしてのうのうと留まる、という厚顔無恥の姿を見せた途端、選手は失望する。
「自分だけが甘い蜜を吸っている」
純粋な選手は、不信感を拭えない。
チームとしても、求心力を失う。
「公平性」
それは保つのが難しいからこそ、勝者と敗者が別れるのだ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。