J１リーグは８月23日、各地で24節の３試合を開催。駅前不動産スタジアムでは、サガン鳥栖対ヴィッセル神戸の一戦が行なわれ、神戸が６対１で勝利した。

　元スペイン代表FWの名手フェルナンド・トーレスの現役ラストマッチとして注目された一戦だったが、意外にも試合は神戸の一方的な展開となった。

　前半の主役はやはり“魔術師”アンドレス・イニエスタだった。立ち上がりから神戸のパス回しの中心を成し、ゴール方向へ鋭いパスを供給していく。11分には西大伍のスルーパスに反応した山口蛍が右足ダイレクトで流し込み、神戸が先制する。さらに神戸は20分、田中順也からのパスを受けた古橋亨梧がペナルティエリア内で倒され、PKを獲得。これをイニエスタがきっちりとゴール左隅に沈めリードを広げる。

　そして、圧巻だったのは22分。田中とのパス交換からイニエスタが浮き球のボールを右足ダイレクトで50メートルは超えようかという驚愕のスーパーロングパス。これを正確に古橋の足もとへ通すと、折り返しを受けた田中が左足で叩き込み、ネットを揺らした。神戸が前半で３点のリードを奪う。

　しかし神戸は前半終了間際、イニエスタが左足の腿裏に痛みを感じ、プレー続行が不可能に。そのまま負傷により、途中交代となるアクシデントに見舞われた。

　前半を３-０のリードで折り返した神戸の勢いは後半も止まらない。54分に古橋が４点目を奪うと、73分にもフェルマーレンの目の覚めるようなサイドチェンジパスを起点にチャンスを広げ、最後はやはり古橋が左足で流し込み５点目をゲット。

　79分には鳥栖の金井貢史に１点を返されるものの、86分には山口蛍にこの日２点目が生まれ、神戸が６対１とリードを広げる。

　引退試合となるF・トーレスは、随所にキレのある動きを見せるものの、ゴールはならず。金森健志のシュートのこぼれ球に鋭く反応し、ゴールを狙う場面もあったが、シュートは惜しくも枠を外れた。

　結局、試合は６対１で神戸が今季最多ゴールを挙げて勝利。鳥栖は、F・トーレスの引退を勝利で飾ることができなかった。