柏の新右SB・川口尚紀が下した夏の決断…”ぶっつけ本番”に込められたネルシーニョ監督の期待

カテゴリ:Jリーグ

鈴木潤

2019年08月08日

「試合までコミュニケーションを取ることがほとんどできなかった」

新戦力の川口が柏でデビューを飾った。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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「レイソルとは対戦したことはあったので、選手の特徴はわかっていたつもりです。細かいところはプレーをしながら、周りの指示を聞きながらやっていました」
 
 8月4日のJ2リーグ26節の琉球戦で、新潟から期限付き移籍で加わったばかりの川口尚紀がスタメン出場を果たした。冒頭のコメントは、琉球戦を振り返った川口の言葉だ。
 
 川口の移籍加入が公式にリリースされたのは7月31日。その日はJ2・25節の岡山戦があったため、翌8月1日の練習では試合出場メンバーはリカバリーとなる。合流したとはいえ、川口にとっては準備期間が短いうえに、スタメン組との練習時間は限られていた。「試合までコミュニケーションを取ることがほとんどできなかった」という言葉からすれば、“ぶっつけ本番”のデビュー戦と言っていい。

 2016年の1年間は、清水に期限付き移籍に出ているが、新潟ユース出身の生え抜きである川口にとって、シーズン半ばのこの時期での移籍は大きな決断であり、相当な覚悟があった。
 
「逆に新潟しか知らなかったので、こういうチームの中で練習や試合をすることで自分自身が成長できたらいいと思い、移籍を決断しました」
 
 琉球戦では難しいシチュエーションの中、及第点を与えられるプレーは披露した。ただ「自分の良さを出すというプラスアルファはまだまだ出せていない。自分の良さは攻撃的なプレー。前への推進力を見せていきたい」と語ったように、自身のストロングポイントを琉球戦で発揮したわけではない。

 ましてや、琉球戦では柏の中盤右サイドの選手が前後半で入れ替わり、前半はクリスティアーノと、後半は江坂任とコンビを組んだ。単独突破を試みるクリスティアーノと、ボールを収めて周囲の選手と関わっていける江坂とでは、サイドバックの動き方も変わり、手探りでのプレーが続いていた。

 だが勝負にこだわるネルシーニョ監督が、戦力にならない選手をスタメンに抜擢するわけがない。スタメン起用の判断を下した理由を、指揮官は次のように語る。
 
「ゲームに行く前に彼と話をしたうえで、彼も『ゲームに出る不安要素は何もない』と話をしていました。彼とはかつて対戦したことが何度かあり、クオリティがあるというのは自分の目で見て感じていました」
 
 川口は各年代別の日本代表経験があり、2015年には日本代表予備登録メンバーにも選ばれた経験を持つ。ネルシーニョ監督が「クオリティがある」というだけのポテンシャルを示す十分な裏付けだ。
 
「勝利で終えられたことが大きかった。1試合こなしたことでだいぶ違います」
 
 柏は5−1の完勝を飾り、連勝を8に伸ばした。急な抜擢も、川口は次節以降へ向けて手応えを掴んでいる。そしてこの先、チームにフィットしてくれば、自身の持ち味を存分に発揮してくれることだろう。
 
 新天地でのさらなる飛躍が期待される。
 
取材・文●鈴木 潤(フリージャーナリスト)

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