欧州を席巻したプレミア勢の時代は続くのか【小宮良之の日本サッカー兵法書】

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2019年07月13日

台頭は必然だった

11年ぶりのイングランド勢対決となったCL決勝は、トッテナムを2-0で下したリバプールに軍配。(C)Getty Images

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 昨シーズンは、プレミアリーグ勢が欧州のサッカーシーンを席巻した。

 チャンピオンズ・リーグ(CL)も、ヨーロッパリーグ(EL)も、決勝はプレミアリーグ勢対決。リバプールとトッテナムが覇を競い、チェルシーとアーセナルが鎬を削った。そしてプレミア王者になったマンチェスター・シティは、CL準々決勝でトッテナムに敗れたものの、そのサッカーの質は高く評価されている。名門マンチェスター・ユナイテッドも、地力は健在だ。

 近年、ラ・リーガは世界最高峰のリーグだったが、プレミアに取って代わられたと言えるだろう。

 もっとも、これは青天の霹靂ではない。2、3シーズン前から、プレミア時代の到来は関係者の間で予言されていた。サッカーの母国としての土壌と豊富な資金力による安定経営と優秀な人材の確保。その台頭は必然だった。

<金は力なり>

 それはサッカー界における一つの真理だろう。プレミアのクラブは健全な経営によって、その力を巨大化させてきた。
 
 欧州王者に輝いたリバプールの主力は、各国の有力外国人選手である。モハメド・サラー、サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノ、ファン・ダイク、アリソンなど枚挙にいとまがない。EL王者のチェルシーに至っては、イングランド人選手を探すほうが困難な多国籍軍だ。

 もう一つ特記すべきは、優れた指揮官との契約にある。ジョゼップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティ)を筆頭に、ユルゲン・クロップ(リバプール)、マウリシオ・ポチェティーノ(トッテナム)、マウリツィオ・サッリ(前チェルシー)、ウナイ・エメリ(アーセナル)、ジョゼ・モウリーニョ(前マンチェスター・U)、ラファエル・ベニテス(前ニューカッスル)など各国の世界的名将がずらりと並ぶ。

 優れた人材を、優れた指揮官が束ねる。強化の論理は至ってシンプル。そして強敵の登場によって、自然とリーグ全体の競争力も上がるのだ。

「クリスチアーノ(ロナウド)がいてくれたのは良かった。彼のような選手がいたからこそ、お互いを高め合うことができた」

 バルセロナのリオネル・メッシの言葉には重みがある。

 昨シーズン、ロナウドがスペインから去って(レアル・マドリーからセリエAのユベントスに移籍)、欧州の均衡は大きく傾いた。CL3連覇中だったマドリーは、ラウンド・オブ16で早々に姿を消すことになった。一方、バルサもリバプールに歴史的な逆転負けを喫している。

 では、これから本格的にプレミア時代となるのか?

 刺激を受けたイングランド人選手がレベルアップするようなら、時代は長く続くだろう。2017年のU-20ワールドカップでイングランドが優勝し、18年ロシアW杯でベスト4に入ったように、台頭の狼煙は上がっている。いまは変革の過渡期か。

 国内リーグの活性化は、その国のサッカー興隆と強くリンクしている。
 
文:小宮 良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。
 

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