［Ｊ１リーグ第12節］Ｇ大阪　１－０　Ｃ大阪／５月18日／パナスタ
 
　キックオフ前の時点で、暫定ながら今季初の最下位に沈んでいたガンバ大阪。本拠地パナスタに宿敵セレッソ大阪を迎えた大阪ダービーで、宮本監督は大きな賭けに打って出た。
 
　１－３の完敗に終わった前節の鳥栖戦から、実に先発を５人入れ替えたのだ。高江、福田、高尾のU-23トリオを初先発させ、矢島をボランチに配備。今野と遠藤の両ベテランをベンチスタートとするショック療法を施した。かたやＣ大阪は、長期離脱を余儀なくされた都倉に代わって高木を前線に投入。最終ラインでは木本とヨニッチがセンターでコンビを組んだ。

　立ち上がりから途轍もないインテンシティーを発揮した両チーム。とりわけ変則的な３－５－２システムを採用したＧ大阪は果敢なハイプレッシャーで相手ボールを狩りに行き、前線のファン・ウィジョ、アデミウソンに素早く当てて厚みのある攻撃を実践し、左サイドの福田も躍動。エネルギッシュな仕掛けを繰り返した。
 
　一方のＣ大阪はＤＦラインからのロングカウンターを模索。10分にはＣＢ松田のフィードに高木が呼応してラインを打破し、敵ＧＫ東口と１対１の局面に。惜しくもファインセーブに阻まれるも、堅固なブロックをベースとした守備から鋭い速攻を狙うロティーナ流を垣間見せた。
 
　Ｇ大阪も13分にファン・ウィジョが相手のパスミスを見逃さずにかっさらい、エリア内へ侵攻。意表を突いてＧＫキム・ジョンヒョンの股の間を通しに行ったが読まれ、こちらもビッグチャンスをフイにした。
 
　中盤戦以降はミドルゾーンでの潰し合いが激しさを増し、ややゲームは膠着した状況に。それでも超満員に膨れ上がったスタンドの大声援に後押しされ、球際で執拗なまでに身体をぶつけ合い、ゴールをひたすら追い求めるアグレッシブさを前面に押し出す。実にダービーらしい、引き締まった攻防戦を展開した。

 

　後半開始直後、先に動いたのは戦術家ロティーナだった。

　49分、前線の高木に代えてソウザを送り込んで２列目に配備。システムを４－４－２から３－４－３に近い形に変更し、中盤の構成力を高め、攻撃的にシフトしたのだが、これが結果的には裏目に出た。
 
　ゲームスピードが瞬時に上がり、両雄ともにわかに前掛かりとなるなか、均衡を破ったのはＧ大阪。55分、右サイドから高尾の縦パスを受けた高江がキープし、ダイアゴナルランで敵ＤＦ網を混乱させた倉田に絶妙なスルーパスを送る。これを背番号10が豪快ショットでニアをぶち抜き、パナスタに歓喜をもたらした。システム変更でプレスポイントが曖昧になっていたＣ大阪の間隙を、ものの見事に突いた連携プレーだ。
 
　主導権を掌握したＧ大阪は、宮本監督がさらに畳みかける。67分にこちらも20歳と若い食野を高江に代えて投じ、フレッシュな息吹をもたらす。するとＣ大阪はすぐさま４バックに修正し直し、70分に柿谷をピッチへ送り出す。さらにそれを受けて、宮本監督は殊勲弾を決めた倉田を下げて今野を中盤に配備して……。両ベンチが慌ただしい動きを見せる。
 
　フィジカルコンタクトを強めて攻勢を仕掛けるＣ大阪。ホームチームはゴール前に人垣を作って、懸命のディフェンスで跳ねのける。78分には矢島に代えて歴戦の勇士・遠藤を投入し、逃げ切りを図った。そして──。
 
　試合はこのままＧ大阪の１－０でタイムアップ。ついに今季ホーム初勝利を挙げ、実に２か月ぶり、８試合ぶりの白星を掴んだ。ピッチに立った青黒戦士全員が魂のパフォーマンスを示し、鮮やかに大阪ダービーを制した。順位を14位に上げ、降格圏を脱している。
 
　Ｊ１における大阪ダービーは今回が37回目。対戦成績はＧ大阪から見て23勝５分け９敗となり、連続無敗を８試合（５勝３分け）に伸ばしている。
 
構成●サッカーダイジェストWeb編集部