現地時間５月14日、フランス代表FWアントワーヌ・グリエーズマンは、今シーズン一杯でアトレティコ・マドリーを退団することを発表した。

　2014年の夏にレアル・ソシエダから加わってからの５年間で公式戦256試合に出場し、133ゴールを挙げてきた点取り屋は、昨夏に2023年６月までの延長契約にサインしたが、今シーズンにチームが無冠に終わったことに加え、懇意にしていたディエゴ・ゴディンと同胞のリュカ・エルナンデズ（→バイエルン）の退団が決まったこともあり、今回の決断を下したとされている。

　退団発表に際して、グリエーズマンは、クラブの公式ツイッターに投稿された動画内で、ファンに向けて、次のようなメッセージを送った。

「新しいことを経験し、新しい挑戦をする決心をしました。この道を進むのは非常に困難な決断でしたが、それが必要だと感じたのです。この５年間、私に注いでくれた愛情に感謝したい。クラブキャリアで、僕自身初めての重要なトロフィーを獲得できました。それらは忘れられない素晴らしい瞬間です。真実は、あなたたち（ファンが）、僕の心の中にいるということです」

　気になるのは、今後の去就だ。この発表を受け、スペイン・メディアを中心に再燃しているのは、昨夏にもオファーがあったバルセロナへの加入説だ。

　マドリードに拠点を構えるスペイン紙『Marca』によれば、グリエーズマンには、２億ユーロ（約260億円）という高額な契約解除金が設定されているものの、それも今年６月１日を過ぎれば、１億2000万ユーロ（約156億円）に値下げされる契約になっており、バルサは、サミュエル・ウンティティとフィリッペ・コウチーニョの売却益で捻出する算段のようだ。
 

　昨夏にも合意寸前までこぎつけていた事実を考慮すれば、グリエーズマンのバルサ入りが有力視されるのは当然だ。ただ、これに割って入ろうとしているクラブがある。フランスの強豪パリ・サンジェルマンだ。

　パリの地元紙『Le Parisien』は、「バルサが正式契約に近づいていることを承知で、パリ・サンジェルマンも関心を示している」とし、グリエーズマンの獲得競争にパリSGが自信を持っていることを以下のように伝えた。

「パリ・サンジェルマンはグリエーズマン獲得の有力候補だ。すでに代表でプレーするエムバペもいることは彼（グリエーズマン）にとって大きなメリットとなる。バルサとのコストを巡る競争になることは明らかだが、退団が濃厚視されているカバーニの代役としてクラブは欲しているのだ。ネイマール、エムバペ、グリエーズマンの３トップが誕生すれば、間違いなくヨーロッパ全クラブの守備陣にとって頭痛の種になるだろう」

　そして、『Le Parisien』は、２年前の夏の移籍市場で、パリSGがバルサからネイマールを引き抜いたことを踏まえて、記事の最後をこう結んでいる。

「２年前、パリとカタールはネイマールとエムバペを連れてきて、移籍金レコードを破ってみせた。クラブはその時の同様のビッグディールを成立させたいと思っているに違いない。グリエーズマンとバルサは互いに結びついている。だが、過去の事例を考えれば、不可能なことはないと言えるだろう」

　来る夏の移籍市場で目玉となるグリエーズマンの去就はいかなる決着をみるのか。今後の動向が注目される。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部