吉田麻也の「いま」 前向きに挑むレギュラー奪還への一意専心

カテゴリ:ワールド

松澤浩三

2014年10月01日

フォンテとアルデルワイレルドに次ぐ3番手の位置づけ。

スウォンジー戦はボニ(左)のタックルで足首を痛め、無念の途中交代。吉田自身も悔しさを滲ませた。 (C) Getty Images

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 9月20日のプレミアリーグ5節スウォンジー戦。2試合ぶりに先発した吉田麻也は、39分、ウィルフリード・ボニに後方から激しいタックルを見舞われ足首を負傷、ハーフタイムで交代した。試合終了後にはロッカールームからピッチサイドまで出て、チームメイトとともに勝利(1-0)を祝ったものの、左足を引きずるその姿は痛々しかった。
 
 怪我が酷い場合は、試合後の選手への取材は困難になる。この日の吉田は『NHK』とのインタビューを辞退した。その光景を遠巻きに見ていた我々ペンの記者陣も取材はダメだと諦めかけた時、吉田はこちらに歩み寄ってきてくれた。そしてその表情は、意外にも明るかった。
 
「大丈夫。いや、大丈夫か分からないけど、ちょっと捻ったので、(次戦の)アーセナル戦に間に合うように治せればいいなと思う。夜に痛みが出てくるかもしれないし、朝起きてみて大丈夫なら、それでいけるだろうし。あまり足首の怪我をしたことがないので、分からない」
 
 しかし、3日後のリーグカップのアーセナル戦、続くプレミア6節のQPR戦ともに、吉田はベンチに入らなかった。このQPR戦では、今夏の移籍期限最終日に加入したベルギー代表のトビー・アルデルワイレルドが怪我から復帰し、CBとして安定した守備を見せた。
 
 ロナルド・クーマン監督が考えるCBの序列は、主将のジョゼ・フォンテとアルデルワイレルドがレギュラーのペアリングで、吉田は3番手。4番手にはこれまた夏に獲得したフロリン・ガルドスが続く。それだけに、正直、スウォンジー戦での怪我は痛かった。この点については、本人にも悔しさがあるようだ。
 
「ボニが退場になったのはよかったけど(吉田へのタックルで二度目の警告を受け退場)、ついでに僕も出ちゃったので、それが残念。トビーの怪我で出場機会が巡ってきて、こういう時にチャンスを掴まなくてはいけなかったけど」
 
 そして、みずからが置かれた立場についてこう述べた。
「微妙なライン。常に自分は11番目だと思ってやっている。いつベンチに下げられてもおかしくない立ち位置だと思って、危機感を持ってやっている」
 
 いまから1年半前。吉田はレギュラーとしてセインツ(サウサンプトンの愛称)のバックラインの中心にいた。プレミア参戦からおよそ半年、欧州のトップリーグで常時出場し、すべては順風満帆だった。当時行なった単独インタビューでは、こんな青写真を語ってくれた。
 
「サウサンプトンで頑張って、ブラジル・ワールドカップで活躍する。そしてその頃になると契約も残り1年だから、そのタイミングでステップアップできればベスト」
 
 だが、シーズン終盤に入るとミスが目立ち始め、35節のWBA戦では失点につながる大きな失策を犯してしまう。以降は出番を与えられず、最後の3試合はベンチに座ったままだった。それでも、この12-13シーズンは31試合に出場した。プレミア1年目にしては、立派な成績だろう。
 
 2年目の昨シーズンは、コンフェデレーションズ・カップ出場でチームへの合流が遅れたうえ、8月と9月の代表戦で離脱したのが痛かった。当時のマウリシオ・ポチェティーノ監督(現トッテナム)は当初、リヨンから獲得したデヤン・ロブレン(今オフにリバプールへ移籍)と吉田をCBのレギュラーコンビに考えていたようだ。なぜ吉田を起用しないのかと問うと、ポチェティーノはこう答えている。
 
「日本代表で長旅をして帰ってきたばかりだから、コンディションが上がっていない」
 常套句と言えばそうだが、言葉はため息まじりで、その表情にはもどかしさが滲んでいた。しかし、説得力のあるプレーを続けたフォンテが完全にレギュラーに定着し、吉田はベンチが定位置となってしまった。
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