［キリンチャレンジカップ2019］日本 １-０ ボリビア／３月26日／ノエビアスタジアム神戸
 
　代表２試合目にして、初先発。４日前のコロンビア戦では、89分に途中出場し、嬉しいA代表デビューを飾った安西幸輝は、そのコロンビア戦からスタメンを総入れ替えしたボリビア戦では、左SBでスタートからピッチに立った。
 
　持ち前のダイナミックな攻め上がりを何度か見せた。本人も「アグレッシブさは出せたかなと思います」と話す。局面の勝負でも「飛び込んでくる相手だったので、うまくボールを運べば行けるかなって」と判断し、果敢に仕掛ける姿もあった。同サイドでひとつ前の乾貴士とのコンビネーションは今ひとつだったが、それでも所属する鹿島で見せるような勢いのあるオーバーラップで乾からのパスを引き出し、クロスを上げる場面もあった。
 
　ただ、そのクロスからゴールチャンスを演出することはできなかった。その点については安西自身も反省を口にする。
 
「チームとして、ニアのところに飛び込むっていうのもありました。そこに僕が合わせられなかったのは残念。（CFの鎌田）大地とも話していて、『あそこを狙って』と言われていたのに、そこに供給できなかったのは悔しいです」
 
　その他でも、「もうちょっと何本か縦に行けば良かったというシーンもありました」と振り返る。守備に関しては、相手に完璧にぶち抜かれるような失態はなかったにせよ、「奪い切れるようにならないと（代表に）定着できない。このレベルでなら全部抑えないとコンスタントに呼ばれない」と自分自身に“ダメ出し”をする。
 
　73分に途中交代し、フル出場はならなかった。ただ、与えられたチャンスの中で、今の自分は代表レベルで何ができるのか、そして今の自分には何が足りないのかを、収穫として掴めたはずだ。
 
「若い選手がもっとやらないと」
 
　初招集となった３月シリーズを終えて、少なからず手応えもあったはずだが、安西は「危機感」も覚えている。「焦りもある」とも。
 
　日本代表の左SBのポジションには、長友佑都という実力も実績もはるかに上回るビッグネームが存在する。偉大な先輩とのレギュラー争いについて聞けば、安西はグッと表情を引き締めて、その言葉に力を込めたような気がした。
 
「やっぱり、長友さんを超えていかないと。世代交代は、前線の選手だけではダメだと思うし。後ろもそれについていかないといけない」
 
　長友に“追いつく”ではない。“超えていかないと”と言った。
 
「それができるように頑張ります」
 
　代表活動の前に、クラブではリーグとACLの連戦のなか、安西は多くの試合に出場していた。相当にハードなスケジュールをこなしているが、ボリビア戦後には「早く試合に出たい」と貪欲な姿勢を見せる。
 

――まだまだいける？
「いけます」
 
――週末の磐田戦も？
「やりたいです」
 
　いずれも即答だった。飽くなき向上心を持ち続ける23歳は、さらなる高みを目指して、これからも走り続ける。
 
取材・文●広島由寛（サッカーダイジェスト編集部）

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