レアル・マドリーは現地３月５日、チャンピオンズ・リーグ（CL）決勝トーナメント1回戦第２レグで、アヤックスに１-４で敗れ、ベスト16で姿を消した。ホームのサンディアゴ・ベルナベウで痛恨の大敗を喫し、２試合のトータルスコアで３-５と逆転されるという結末に、応援に駆け付けたサポーターが涙を流す姿も見られた。

　そもそもマドリーは今季、不振にあえいでいる。直近のリーグ戦、カップ戦で実現したクラシコでは宿敵バルセロナに２連敗を喫した。そのため、CLでのマドリーの苦戦を予想する声もあった。

　だが、ベルナベウで４失点しての完敗という失墜ぶりは、世界に大きな衝撃を与えている。その衝撃の大きさたるや、UEFA公式サイトやデータサイト『Opta』が示した数字からも窺える。

　まず、ベルナベウで行なわれたCLの試合で、開始18分間で２失点したのは、クラブ史上初。CLのホームゲームで連敗したことも、史上初めてのことだ。昨季までは欧州でのホームゲームで２点差以上の黒星を記録したことがなかったが、今季は２回に収まるどころか、公式戦では６回にのぼる。これは1950-51シーズン以来、68年ぶり２度目の事態だ。

　さらに、マドリーが敵地での第１レグで勝利した後に逆転で敗退する、という事態は、CL通算出場35回のうち、1994-95シーズンに続いて２度目。これに加え、欧州のクラブチームがベルナベウでマドリーに３度、土を付けたのは、これまでセリエAのユベントスのみだった。しかし、この試合の敗北により、アヤックスが肩を並べたことになる。

　”不名誉な記録”はCLに限ったことではない。公式戦でもマドリーはホームで４連敗中と、こちらも2004年以来15年ぶりの記録を更新している。

　数々の不名誉な数字が取り沙汰されるなかで、1011日ぶりに欧州王者からの陥落が決まったマドリー。『ESPN』によればダニエル・カルバハルは試合後、地元テレビ局のインタビューに応じ、「今週の僕らはすべてをホームで失ってしまった」と落胆した様子を隠せなかったという。

「今夜は言い訳は必要ない。相手のほうが良かったし、決勝トーナメント突破に値する力を見せたと思う。

　僕らの今シーズンが”終わって”しまったのは明らかだ。だが、プロらしくリーガでハードワークを続けるしかない。クソッタレなシーズンだ。よく分かっているが、隠れることなんてできない。これが現実なんだ。こんな気分の悪さは初めてだよ、言葉で説明できない」

　大会４連覇を目標に掲げていた元王者は、コパ・デルレイ敗退に続いて、CLも敗退し、現時点ではリーグ優勝も難しい状況だ。もしかすると、今年は無冠でシーズンを終えるかもしれない。

　現地では「一時代の終えん」とまで騒がれ、地元サポーターからは、フロレンティーノ・ペレス会長の辞任を求める声も上がり始めているという。

　“白い巨人”の不振は、簡単には解決しなさそうだ。