【鹿島】「もっと、ずうずうしくやれる」新キャプテン内田篤人の妥協なき戦い

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2019年02月13日

「ちゃんと『頼むね』と言われたのは初めて」

水戸とのプレシーズンマッチでは80分から途中出場。わずかなプレータイムではあったが、キャプテンマークをその左腕に巻き、チームの1-0の勝利に貢献した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 2月9日、毎年恒例の『いばらきサッカーフェスティバル』が開催された。鹿島アントラーズと水戸ホーリーホックが相まみえる伝統のプレシーズンマッチで、今年は鹿島が1-0の勝利を収めた。24分に中村充孝が技巧的な左足シュートでゴールネットを揺らし、この1点を守り切った。
 
 ACL連覇、リーグタイトル奪還など、今季も“全冠制覇”を目指すシーズンの幕開けを勝利で飾るなか、昨季限りで引退した小笠原満男からキャプテンを引き継いだ内田篤人は、80分から途中出場。先発で出ていた遠藤康から腕章を受け取り、左腕に巻いた。
 
 クラブから打診された大役について、内田は「イエスもノーもない。やらなければいけない」と受諾。迷いなどなかった。「キャプテンって、やりたいからなれるわけではないと思う。監督とか、上の人から『やれ』と言われて、やるもの」と考えている。
 
 学生時代には部活の部長を任され、「一応、キャプテンっぽいと言えば、そうなのかもしれない」という歴史はある。だが「ちゃんと『頼むね』と言われたのは初めて」だ。
 
 これまで、いろんなタイプのキャプテンとプレーしてきた。「鹿島では(小笠原)満男さん、日本代表では長谷部(誠)さん、シャルケでは(ベネディクト・)ヘーベデスとか」。それぞれのチームのまとめ方を見てきたが、「いろんなキャプテンの“いいとこどり”が一番、いいかもしれない」と話す一方で、「俺はこうなったほうがいいとかは、別にない。去年と変わらず、やっていくつもり」とあくまでも自然体を貫く構えだ。
 
 それでも、内田なりの考えはある。「みんながキャプテンのつもりで戦えばいいし、俺だって去年もそのつもりでプレーしていた」が、今季はより自分のカラーを色濃く打ち出すつもりでいる。
 
「変な話、もっとずうずうしくやれる、俺のやりたいように全部やっていいんだなと思うと、ちょっとは気が楽かな。去年はどこまで言っていいのか、どのくらい怒っていいのか、少なからず気を遣ってはいたんです。自分はキャプテンじゃないし、(ドイツから)帰ってきて1年目だったし。
 
 でも、今年はキャプテンマークを渡された。ということは、“じゃあ俺やっていいんですね”と。好き勝手やりますよ、って」
 
 ともすれば誤解されがちな物言いだが、自分勝手に、ワガママに振る舞うというわけでは決してない。チームが勝つために、タイトルを掴むために。そこから逆算して、何をすべきか、それをピッチ上でどう表現するかに、集中して、行動に移す。
 
 妥協も、遠慮もしない。自分なりのやり方で、チームのために身を粉にして全力を尽くすだけ。“好き勝手”には、そんな強い決意と覚悟が込められているのだ。
 
 小笠原満男という唯一無二のレジェンドが去った後の常勝軍団は、どんなチームになっていくのか。その先頭に立って戦う背番号2の生き様を見逃すわけにはいかない。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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