【番記者通信】現実味を帯びる25年ぶりの悲願|リバプール

カテゴリ:メガクラブ

ジェームズ・ピアース

2014年03月13日

5年間の“沈黙”を破ってあのチャントが――。

このジェラードのゴールなどでサウサンプトンを破り、28節終了時点で2位に浮上したリバプール。サポーターからは、「俺たちがリーグを制覇する」という力強いチャントがついに沸き上がる。 (C) Getty Images

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 サウサンプトンを3-0で一蹴したプレミアリーグ28節の完勝は、1勝以上の価値があった。敵地セント・メアリーズで手にした12年ぶりの白星というだけでなく、チームが2位に浮上する勝利だったのだ。

 25年ぶりのリーグ優勝――。現実味がなかったその言葉が、サポーターの胸にグッと響き始めている。北西部のリバプールから、南部の海沿いの町サウサンプトンまではるばる遠征した3100人のレッズサポーターは、おそらく夢見心地で帰路に就いたに違いない。

 10試合を残して、首位チェルシーとの勝点差はわずか4(その後、先に29節を消化したチェルシーが勝ってその差は7に)。金満クラブのチェルシーとマンチェスター・シティ(3位)を向こうに回し、シーズンが深まったこの時期に優勝の2文字がこれほど近くにあるこの状況は、開幕前には考えられなかった。実際、リバプールを優勝候補に挙げる評論家やメディアは皆無だった。

 サウサンプトン戦の終盤、過去5年間決して聞かれることのなかったチャントが、レッズサポーターから沸き上がった。
「いまなら俺たちを信じるだろう、俺たちはリーグを制覇するんだ」

 2009年4月、敵地クレイブン・コテージでのフルアム戦。ヨッシ・ベナユン(現QPR)が終了間際に決勝弾を叩き込み、劇的な勝利を収めたその瞬間こそ、このチャントが合唱された最後だった。ベナユンのゴールは、チームを首位に押し上げる一発だった。

 サウサンプトン戦後に取材に応じたスティーブン・ジェラードは、
「リーグ優勝についてのチャントは嬉しかった」
 としながらも、
「ただ、自分たちはリラックスして、気持ちを落ち着かせるのが大切。たしかに優勝争いに加わっているかもしれないし、プレミアに集中できるのはアドバンテージだろう。当然狙っていきたいが、まだまだ先の話だ」
 と、みずからに言い聞かせるように、努めて冷静に話した。

 チェルシーをかわし、あるいはシティを抑えて優勝するには、残り10試合で9勝は必要だろう。言ってみれば、負けられない戦いが続くというわけだ。そのうちの1試合が、敵地でのマンチェスター・ユナイテッド戦(3月16日)だ。頂点までの道のりは、決して簡単ではない。

 就任2年目のブレンダン・ロジャース監督の下、リバプールが大きな進歩を遂げているのは間違いない。いわば大きく踏み出しているその一歩は、はたしてリーグの覇権にまで届くのか。

【記者】
James PEARCE|Liverpool Echo
ジェームズ・ピアース
地元紙『リバプール・エコー』の看板記者。2000年代半ばからリバプールを担当し、クラブの裏の裏まで知り尽くす。辛辣ながらフェアな論評で、歴代の監督と信頼関係を築いた。

【翻訳】
松澤浩三
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