今日はパーフェクトだ。たしかに戦前の予想ではイランが優位なんて言われていたけど、開始直後からずっとリズムをとっていたのは日本だった。

　とくに前回のベトナム戦と打って変わって、今日は左右のバランスが良かったね。左は長友と原口、右は（酒井）宏樹と堂安がちゃんと起点になっていた。

　もちろん、前半から決定的なチャンスをじゃんじゃん作っていたかと言われればそうではないんだけど、まったく選手間のコンビネーションが欠けていたイランに対して、日本はプレーリズムがすごく良かったし、みんなが同じ方向を向いていた。だから、終始安心して見ていられた。

　そんな日本でひとつ心配だったのが、僕が今大会を通してずっと気になって仕方がない権田の不用意なゴール前でのパスミスだった。この試合でも一度危ないのがあったけど、思うに、彼は足もとの技術に相当自信があるのかもしれない。

　周囲との連携がまだ熟成されていないから、いまはミスみたいになっているけど、長い目で見たら、最後尾からしっかりビルドアップしようとする日本のサッカーにおいて、彼の存在は大きな武器になるかもしれないって、だんだんそう思えるようになってきたよ。

　それにベトナム戦でもそうだったけど、みずからのミスでピンチを招いても、彼は見事にリカバリーする。今日も“奇跡の左足”でアズムンのシュートを止めていた。

　こんなことを言ったら失礼かもしれないけど、権田は一流のエンターテイナーかもしれないね。ミスしてもぜんぜん慌てないし、逆にスーパーセーブをやってのけるんだから。もしかしたらすごいヤツなのかなって、ちょっと見方が変わってきたよ。
 

　攻撃に関しては、大迫のスタメン復帰が大きかった。彼の帰還によって、南野は完全に息を吹き返した。ここまでよくなるかってくらいに、すごくわかりやすく。

　北川と組んでいたとき、南野は堂安のことしか見ていなかった。でも今日は、堂安に加えて大迫も視野に入れながら、大迫にボールが入ったら近寄って行ってサポートしたり、あるいは追い越してっていう動きを繰り返していた。

　そして、原口を含めた前線の４人の良さを引き出していたのが、柴崎だ。頼れる司令塔が、ついに絶好調時のコンディションを取り戻したようだ。表情も自信に満ち溢れていたしね。

　１点目の場面では、イランのプレッシャーが一瞬緩んだのを見逃さずに、横パスではなく大迫への縦パスに切り替えた。その後の大迫の反転パスや南野の突破と粘りも見事だったけど、あの先取点は柴崎が大迫に出した高速のパスがすべてだったと思う。あいつはやっぱり上手いわ。

　その後PKから追加点を奪って、無失点を維持したまま原口が３点目を突き刺した。さすがはワールドカップを経験している選手だ。

　そこに至るまでの中盤での細かいつなぎも鮮やかだったけど、原口の縦に抜け出してのドリブルシュート。あそこでトドメの３点目を決められるっていうのは、本当にすごいこと。大きな役割を果たしてくれたよ。

　一方のイランは、サッカー以前の問題だった。ワンプレーごとに審判に食ってかかり、技術はあるのにボールをつなごうとしないあのスタイルには、正直がっかりしたよ。イランが負ける時はいつも自滅。今回もそうだ。

　１点目なんて、その象徴だよ。４～５人で審判にアピールしてゴール前を空けてしまったばかりに、大迫のヘッドが生まれたわけだからね。彼らが変わらなければ、アジアのサッカーは永遠に良くならない。内面的な成長に期待したいところだね。

　最後まで“大人”だった日本は、そんなイランに格の違いを見せつけた。そして勝った。本当に素晴らしかった。選手全員、それから森保監督やコーチ陣を含めたみんなに「おめでとう」を言いたい。

　遠藤と宏樹の怪我の具合は気になるところだけど、ぜひ決勝でも、もう一度素晴らしいサッカーを披露し、優勝してほしい。

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