【U-18プレミアリーグ】11節ピックアップ・ゲーム[EAST]市立船橋 対 東京Vユース

カテゴリ:高校・ユース・その他

松尾祐希

2014年09月01日

競争から這い上がった2年生DFの白井が、市船守備陣の新たな主軸に。

前節のJFAアカデミー福島戦では同点弾、今節は相手を無失点に抑え勝利に貢献。市立船橋2年生CBの白井が連勝の立役者に。(C)Yuki MATSUO

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 後半戦の幕開けとなった前節でJFAアカデミー福島を見事な逆転劇で下した市立船橋が、今節は東京Vユースを相手に鮮やかな無失点勝利を収めた。
 
 インターハイまでは3バックを採用していた市立船橋は、その初戦の2回戦で広島皆実に敗れた後、プレミアリーグ再開に合わせ、システム変更に踏み切る。アンカーを置いた4-3-3を導入したのだ。東京V戦では、序盤こそMF中野雅臣、MF井上潮音を中心とした相手のパスワークに押し込まれたが、主将のDF藤井拓、2年生のDF白井達也のCBコンビを軸に、鋭い出足と球際の強さを発揮。的確に相手の攻撃の芽を潰し、チャンスを作らせなかった。
 
 すると、後半開始早々の46分にMF古屋誠志郎のラストパスを左サイドで受けたDF鵜澤恵太が蹴り込んで、市立船橋が先制する。これでリズムを掴んだ市立船橋は、藤井と白井を中心とした堅い守りから、切れ味鋭いカウンターで相手ゴールを再三脅かす。
 
 80分にはFW磯野隆明が待望の追加点を奪い、82分にも右サイドからFW永藤歩のクロスをニアで磯野がスルーし、ファーに飛び込んだ鵜澤が押し込み、この日2点目のゴールを挙げる。「いつもの練習通りの形だった」(鵜澤)というこの得点で、市立船橋が試合を決定づけると、最後まで集中力を切らさず、終わってみれば3-0という完勝で東京Vをまったく寄せ付けなかった。
 
 この日の市立船橋で抜群の存在感を見せていたのが白井だった。再三にわたり、CBの位置から鋭いインターセプトを連発。先輩の藤井との連係も絶妙だった。
 
 プレミアリーグのここ2試合では、守備の中心になった白井だが、実はインターハイの17人のメンバーからは外れていた。以前は中途半端なプレーが多く、なかなか出場機会を得られなかったが、朝岡隆蔵監督が目を細める成長ぶりで、現在はレギュラーポジションを掴みつつある。 
「勇気を持って、決断できるようになりました。今までは迷いながらやっていたのですが、行くところに対しての出足は相当良くなった。インターセプトの回数はかなり増えましたね」と、指揮官も賛辞を惜しまない。
 
 白井が変わるきっかけとなったのが、7月の堺ユースサッカーフェスティバルだ。春先から朝岡監督は、意図的にポジションのバランスを崩して選手に負荷を掛ける、3-6-1を採用し、チーム力の底上げと競争を図ってきた。
「いろんな競争に晒されている中で、這い上がってくる選手に、僕らは絶対にチャンスを与えます。その適正な競争の中でやっている」(朝岡監督)
 
 白井は、この競争から這い上がってきたひとりだ。朝岡監督は、インターハイのメンバーから外されながらも黙々と練習を続けてきた2年生DFを、堺ユースフェスティバルでスタメンに抜擢。
「以前から、力強く前に行くことを意識していましたが、なかなか自信が持てなかった。でも堺では、その意識をもっと強く持って、実践できるようになった」と白井は言う。
 朝岡監督が与えてくれたチャンスに応えようと、必死にプレーした白井は、指揮官をはじめ周りのチームメイトからも認められる存在となり、それが大きな自信を生み出した。守備の要となる藤井も「元々、技術力もあって、ヘディングも強かった。一番の課題は裏を取られることが多かったり、ボールを奪い切れないところでした。でも、相手のボールの持ち方を見た上で予測し、前で奪えるようになった。今日も一番インターセプトの回数が多かった。かなり自信を持ってやってくれていますね」と、後輩の自信に満ち溢れた姿に頼もしさを感じている。
 
 チーム内でのこうした熾烈な競争こそがまさしく、市立船橋が名門たる所以なのかもしれない。ひと夏を経て、逞しく這い上がった2年生CBの白井達也が、今後どのような活躍を見せるのか非常に楽しみだ。「イチフナ」にまたひとり頼もしい男が台頭してきた。
 
取材・文:松尾祐希(フリーライター)

【U-18プレミアphoto】11節[EAST]市立船橋 対 東京Vユース
 
U-18プレミアリーグ/11節の結果
[EAST]
市立船橋(18) 3-0 東京Vユース(10)
札幌U-18(15) 1-0 柏U-18(23)
鹿島ユース(14) 4-1流経大柏(14)
青森山田(12) 3-1 三菱養和SCユース(12)
清水ユース(22) 2-0 JFAアカデミー福島(9)
[WEST]
富山一(5) 1-3 神戸U-18(20)
東福岡(18) 4-0 京都橘(19)
広島ユース(19) 2-1 C大阪U-18(24)
東山(6) 1-6 G大阪ユース(22)
名古屋U18(25) 0-5 京都U-18(19)
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