【指揮官コラム】三浦泰年の『情熱地泰』|カリオカが熱く語った「闘う」の真意とは?

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2018年12月29日

「闘う」を持ったチームは強い。いや、実際に強かった

サッカーに対する情熱は衰えないラモス氏。殿堂入りパーティーでも熱く語ったという。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 鹿児島を後にして一番最初に向った場所は六本木だった(笑)。
 
「ラモス殿堂入りパーティー」に参加するためだった。
 僕は拠点を東京に戻した。 久しぶりのラモス瑠偉さんとの再会に正直、涙が出そうであった。ラモスさんとは彼が岐阜の監督を務めている時に練習試合をやってもらった時以来、何年ぶりだろう。3年ほど前になるだろうか……。
 
 ラモスさんが脳梗塞で倒れ、乗り越え、再婚してという時期に連絡(音信)が不通となっていたこともあり、そんな僕に招待状が届いた時には、どんな顔で出席すれば良いのか悩んでしまった。だが、ラモスさんの変わらぬ顔と声。そして情熱に、懐かしさを感じ、不安も吹っ飛びホッとした。
 
 僕らはラモスさんのことをカリオカと呼ぶのだが、カリオカを囲む読売時代の仲間、松木安太郎さん、岸野靖之さん、藤吉信次らと再会でき、ドーハで共に闘った吉田光範さん、長谷川健太、森保一、福田正博までが駆けつけた。
 
 現役選手も含めて数多くのサッカー関係者と過ごし、各分野で活躍する、陰で表でカリオカを支える人たちとの時間は、有意義なひと時でもあった。
 
 そんな空間にカリオカを中心に久しぶりに舎弟分の僕がいる。
 
 松木さんの顔を見ながら藤吉の声を聞きながら、「ラモス節」カリオカの今のサッカー界、Jリーグへの熱い想いが聞ける。カリオカの熱さは心配になるぐらいだが、それが彼のパッションなのだ。
 
 少し脳梗塞が心配だった……。
 
 ヴェルディのことを真剣に心配するカリオカの顔はいつも違う。いつ会っても緑の血を強調し、緑の血に誇りを持つ本気の顔だ。
 
 プレーオフ、最後の最後に磐田に対して戦えなかったことに対して、コーチである藤吉を叱咤激励。
 
 もちろん、ヴェルディだけではない。自らの思い、感じた厳しさを、チームに伝える人が今のスポーツ界には少なくなっているのであろう。
 
 そしてサッカーの世界で言う「戦えない」とはどういう意味なのだろう。僕がカリオカの言う「闘う」について、松木さんに質問をした。
「松木さん 戦う、闘うってどういう意味なんですか?」
 
 松木さんからの答えを待たずして僕は続けた。
「選手はきっと言いますよ。戦ってるって……。分からないと思いますよ」
 すると松木さんは「時代だな」と答えた。時代が違うのだと。
 
 そしてこの「戦う」は読売クラブ、ヴェルディ川崎だった選手たちが共有した「闘う」なのであろう。
 
 ここには来られなかった天国の藤川さんが昔、ヴィッセル神戸のGKコーチだった頃。負けたら降格の可能性があるという試合の前日、「たたかうのは、この『戦う』ではダメだ。この『闘う』なんだ。これは闘魂の闘。魂を入れるんだ」と叱咤した藤川さんを思い出した。
 
 そして、その「闘う」を持ったチームは強い。いや、実際に強かった。
 
 サッカーのスタイル。システムも大事。テクニカルも大事。タクティクスも大事。フィジカルも大事。ハードワークする事も凄く大事。
 
 ただ、この闘うことが大前提になければ、大きな試合は取れない。いざという試合で逃げたら終わりだ。
 
 それをカリオカは熱く、熱く訴えていた。
 
 周りから見ると僕らと喧嘩をしているように文句を言っているように見えるがそうではない。カリオカは日本がヴェルディのサッカーがもっと良くなって欲しいだけなのだ。
 
 そして最近こういう人間が減っているのであろう。そしてこういう人間を必要としない組織が良い組織となっているような気がする。闘いを避ける、闘いを嫌う逃げの組織化。
 
 これが20年東京オリンピックを迎える日本スポーツ界の姿勢だとしたら寂しいことだ。
 
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